パイエルさんのパイエル板という「小腸」独自の免疫システムを見てききました。その続きです。
M細胞が「悪い奴らを」をアミで捕獲するようにパイエル板の方に連れてきて、軍隊が出動でしたね。
まず、自然免疫系がアタックです。
軍隊は、「顆粒球」と「マクロファージ」です。
まずはこの2大隊が最初の攻撃をしかけます。
さらに「マクロファージ」から機密情報が
獲得免疫系に送られます。
その機密情報を受けるのが、主に
「リンパ球ヘルパーT細胞」。
この「リンパ球ヘルパーT細胞」から攻撃指令が出される。
この指令をうけて「リンパ球キラーT細胞」が「敵」を攻撃しはじめる。
同時に、指令を受けた「リンパ球B細胞 」は相手をやっつけるための特殊な武器を創って、攻撃を仕掛ける。
目的の相手だけを攻撃できるのです。標的を絞った攻撃ができる様に、敵の情報をもとにつくった特別製です。
この情報は「リンパ球ヘルパーT細胞」からあらかじめ受け取っておきます。
特殊な武器で攻撃されてる「敵」を
「リンパ球キラーT細胞」がさらに攻撃して、相手を打ちのめす。
こんな、バトルが繰り広げられます。
このなかの、
指令を受けた「リンパ球B細胞 」相手をやっつける特殊な武器を創る・・・というのが、別名「抗原抗体反応」です。
「抗原」というのが「敵」です。
その敵「抗原」に対して、相手が身動きできなきなるような特殊な兵器、これは相手の情報をもらって、特別に創ります。オーダーメイド。
その兵器を「抗体」と言います。
この「抗体」が相手をがっちりブロックしてしまいます。
この相手だけを攻撃する物質を「IgA(免疫グロブリンA)」といいます。普通に「アイジーエイ」と読みますね。
この一連のシステムが、うまくいけば、敵(病原菌)を一網打尽に撃退できて、私たちは病気にならなくて済むわけです。
この段階は「病気の予防」と言っていいでしょう。
この小腸で創られる「IgA」は、
私たちのからだにある免疫抗体のおよそ6割を占めるんだそうです。
この戦場は小腸の後半のところ、「回腸」です。
つまり、前にもお話をしたように、腸で常在菌が存在するのは、おもに大腸。
小腸では無菌ではないけれど、一部の腸内細菌がいる程度と認識しています。もちろんそれらの腸内細菌が免疫をサポートしているのも間違いはないと思いますが。
とかく、私たちは「腸の健康=身体の健康」という図式で、刷り込まれています。
これは、正しい。
今までの話から、正論だと私も思います。
ところが、ちょっと変になるときがある。
「腸の健康は腸内細菌のバランス」というフレーズです。
場合によっては、
「よい腸内細菌を口からたくさん摂取すると、腸では悪 玉菌が減り、善玉菌が増し、免疫力が上がり、様々な病気に打ち勝つ・・・・」
というロジックを見かけたことがあります。
確かに、嘘ではないけれど、それが全てではない。
口から摂取する善玉菌は、有益。
一方、
腸管免疫の最大の主役、パイエル板の働きも大きい。
さらに、悪玉菌といえども、ちゃんと役割はあるわけです。ビタミン合成に関わっていたり、病原性大腸菌O-157に対抗したりと・・・、役割がちゃんとある。
ここで学ばなければならないのは、「腸の免疫」といった場合には、まず、
「小腸の免疫」と「大腸の免疫」とを
分けて、論じなければならない。
もちろんどちらも、たいせつで有益な免疫ですが、明らかに性質が違います。
小腸から吸収されるのは大切な栄養素。
大腸から吸収されるのは水分やミネラルなど。
さらに、大腸ではたどり着いた食物からエネルギー産生もおこなっている、という説もあります。
今の医学でわかっている事実です。
未来は、
この説が覆されるかもしれませんが、
今はこれを信じるほかない。でないと先に進めない。
まるで、「腸内細菌があらゆる病気を治す」ようなイメージにさせられるキャッチコピーもあります。
ほんとですか?
小腸での免疫系が狂っていたら、いろんな病気が発症することは間違いないです。
その小腸での免疫の不具合は、ある種の腸内細菌だけを摂取してもたぶん改善しません。
と言うことは、「腸内細菌だけでからだを何とかしよう」というロジックには「無理がある」と私は思います。
もっと言ってしまうと、口から摂取すると言うことは、大腸にたどり着くまで、ものすごく長くて過酷な旅となることを、このブログの読者の皆様は全員ご存じです。
口でかみ砕かれるくらいでは、腸内細菌は壊れないでしょう。
食道通過の旅も何事もないでしょう。
問題はその次からです。
胃では強酸の海です。
次の十二指腸では反対の強アルカリの豪雨。
いくつかの消化液にさらされるわけです。
その先は免疫のメッカ、6メートルの長いトンネル、小腸です。
何が言いたいかと言いますと、口から摂取した腸内細菌がどれだけ大腸にたどり着いて役に立つのか?という点です。
ここが押さえられない限り、あまり意味がない。
飲まないよりはマシ、という程度となってしまう。
大腸に比べると小腸には常在細菌の存在はかなり少ないんだそうです。一律「腸」で扱うのは乱暴ですよね。
最近の研究では、腸内細菌の死骸でも大腸にたどり着いて、善玉菌を増やすということもいわれているようですが、それにしても、ただ,○○菌を飲んでいればいい,とはざっくりすぎると思ってしまいます。
単に、ビフィズス菌といっても、たくさんの種類がわかってきていて、各人の腸内フローラ(腸内細菌の集落みたいなとらえ方)に合ったものが、つまり「適合性」があるらしいです。
ということは、摂取してみなければ、自分に合っているかどうかわからない、という側面をもっているわけですね。摂取してみて調子がいいものを続けていると、善玉悪玉のほどよいバランスがとれてくるという過程が必要だと思います。
どの商品が、期待通りに「大腸」まで、たどり着いて、自分に効果をもたらしてくれるのかを見分けなければなりません。「これだけで○○○・・・・」はちょっと乱暴。
腸内細菌を摂取するのと同じくらい大切なのは、腸内細菌がほしがるものも、与えた方がよいという事実。
オリゴ糖の類いなんかがそれですね。
そのほかに、小腸や大腸の免疫群が喜ぶものも与えなければならないでしょうね。
そのへんは、あまり議論されない気がしませんか。
今まで、あんまり注目されない「小腸」を元気に健やかにする方法を考えることも、合理的だと思いませんか?
いずれ、その方法の一つで、科学的な根拠に基づく「養生」をお教えしますね。
今日も素敵な一日になりますように。
またお会いできたことにうれしさいっぱいです。