(992)心的外傷による解離性の幻覚妄想にパロキセチン単剤が著効した一例 | データベース制圧の精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・第二次大戦・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法

(992)心的外傷による解離性の幻覚妄想にパロキセチン単剤が著効した一例

症例は50歳代の主婦。診察までの一週間で隣人に対する被害的な幻覚妄想の急激な増悪が認められた。掃除の仕方が悪かったから背中に電気をかけられる、麻酔銃で撃たれる、やめてくれと夕方になると隣家に押しかけた。本人の希望もあり昼前に夫と受診した際には、病的体験への自覚を認めた。こちらからの質問により、過去一年以上にわたり正月や法事の際病的体験とは直接関係しない広範囲な健忘症状が確認された。解離性の幻覚妄想症状と診断しパロキセチン10mgを処方した。1~2週間で幻覚妄想の消失と記憶の回復が認められた。夫のみの受診時に、2年前に起きた患者の性的外傷体験が打ち明けられた。こちらから直接患者に外傷体験の詳細を確認する勇気がもてないまま、5ヶ月間で通院が中断された。薬理学的研究や他の自験例からパロキセチンなどのセロトニン作動薬の記憶に対する作用が、真の治癒機制である可能性が示唆された。


昨年の県の大会と今年の日本精神神経学会で発表した内容の抄録です。