
文庫で上下巻2冊になりましたが
親本は5㎝はあろうかという厚みで読み応えアリアリでした。
横山秀夫氏と言えば「半落ち」などでも有名ですが、警察小説の旗手。
『ロクヨン』は中でも秀逸な作品です。
主人公が刑事ではなく広報官であるという視点も新しいと思います。
さて本作。
以前にピエール滝さん主演でドラマ化していますが
今回は佐藤浩市さん主演の映画になりました。
佐藤浩市さんだけでなく、まさにオールスターキャスト。
どの俳優も主役を張れる人たちばかりなんです。
どんなアンサンブルになっているか非常に楽しみな作品。
原作の重厚感を損なわないためか、映画は前後編の2作となっていますね~
【原作あらすじ】
主人公の広報官・三上は一人娘が家出をしていまい、その捜索を上司に頼んだ。そのことが足枷となり上層部や記者クラブとの確執を生んでいる。
そんな中、時効を迎える誘拐事件を模倣する事件が起きた。
昭和64年に起きた誘拐事件の符丁『ロクヨン』
未解決事件の模倣犯とは?
ざーーーっくり書きましたが、警察を「カイシャ」と呼ぶ警察官の苦悩がこれでもかというくらいに描写されています。
サラリーマンとなんら変わらない派閥争いや保身のための秘密・・・
読んでいて思わず力が入ってしまうくらい、腹立つんですわ~
そして三上の娘が家出した理由というのが
ミス県警にも選ばれた美貌の母親に似ず、無骨な父親に似ていることが恥ずかしいと引きこもった挙句の家出。
お年頃ならありうる悩みです。
そして、三上の妻は「携帯を持たない娘が電話をしてくるかもしれない」・・・と
どこにも外出せず、食材すら宅配を使い息をひそめて生活している様子などは息が詰まりそうです。
娘が電話してくるかもしれないという希望は、無言電話がかかってきたときに希望に変わります。
きっと娘に違いない。娘は生きていると。
子を思う親の気持ちがこれでもかと描写されるのですが
それがわが子を誘拐された被害者の父親・雨宮とリンクしていくのです。
雨宮は映画では永瀬正敏さんが演じています。
【ネタバレ】
昭和64年の事件のとき、犯人からの電話の録音に失敗し、警察はそのことを隠蔽します。
犯人の声を知るのは電話にでた雨宮だけ。
実は三上の家にかかってきた無言電話が伏線になっています。
電話の主は雨宮。
模倣犯の犯人は雨宮でした。
雨宮は14年かけて電話帳に載っている電話番号すべてに電話をしていました。
犯人を探すために、声を調べていたのです。
14年目にして「みかみ」
「マ行」に達したというわけです・・・
そしてロクヨンの犯人の名前は「目崎」
声で目崎が犯人だと確信した雨宮が、目崎に鉄槌を下すための模倣犯だったのです。
このシーンのカタルシスたるやハンパじゃありませんでした。
伏線がきれいに回収されているし、
親の執念も恐ろしいものでした。
また残念ではありますが、家出した娘はみつからないまま終わりました。
完全にハッピーエンドじゃないのが、完全を作っているような作品です。
映画もいいけど、原作本で楽しんでみるのも良い作品です。
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