― 小千谷地域の「起源と再生」を読み解く最新号 ―
『小千谷文化』第253号(令和7年12月20日)発行となります。
今号の表紙は、内ヶ巻・原新田・川口村の入会場山論に関する古文書(小千谷市川井内ヶ巻・長岡市旧川口町)を中心に、既刊の247号・248号の表紙画像を視覚的に再構成・コラージュした表紙構成です。
これらの史料群は、「小千谷地域の起源 総括・第三章(起源と再生)」の内容を象徴的に示すものです。とくに地域に残る宝暦期の「扱証文之事」写は、内ヶ巻と周辺村落の広域的構造を具体的に示す実証史料として重要であり、表紙構成の中心に据えています。
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◆特集論考
「小千谷地域の起源と再生 ―歴史・文化の復元と広域視点―」
今回の論考では、表紙に採用した史料群と不可分に、地域の構造的な「起源」と「再生」を広域視点から再検討しています。
《主な内容》
総括第三章(第247号、第248号)
*吉谷の広域構造と岩沢との対比*
中世以来の広域形成を軸に、従来の村単位では捉えきれなかった地域像を再構成。
*鎮守・諸家由緒の構造的再検討*
吉谷・土川・岩沢・千谷川の神社や諸家由緒を比較し、成立過程と地域的な意味を読み解く。
※内ヶ巻・原新田・川口村の入会場山論(川上市兵衛家文書)
宝暦期の記録に見える三村の境界・支配・入会関係を整理し、『川口町史』では曖昧に扱われた領域構造を再検証。
これら三つの論点はいずれも、近世村落を単独で扱うのではなく、地域史の「起源」を再定位しようとする試みです。
川口で言えば単なる萱場山論に終始させず、川東・川西をまたぎ内ケ巻と接続する広域の歴史的構造を捉えています。
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◆本号の読みどころ
今回の253号は、「郷土史の実証研究の現在地点」を示すと同時に、
・史料から地域構造を再構成する姿勢
・従来の市町村史記述の再検証
・広域的視野による歴史復元
を提示する内容となっています。
本稿は、推説「小千谷市の始まり」「古代千屋郷の中心」とされてきた地名「吉谷」を、史料と地名形成の実相から紐解く一つの手がかりを示したものです。
ここで提示した諸点は、特定の学説を名指すものではないが、従来有力とされてきた古代史的解釈を、
郷土史の立場から批判的に検証し得る内容を含んでいます。とりわけ、文献解釈と地域史料との乖離という問題は、古代史研究そのものの方法的成熟度を問い返す素材ともなり得ます。本稿が、新潟の地に学ぶ学生たちが、既成の権威に安易に依拠するのではなく、地域に残された史料と向き合いながら、自ら理論的批判に辿り着くための一助となれば幸いです。
入会場山論をめぐる古文書は、「旧来の『争論』中心の扱いでは捉えきれない村落構造を示す史料」として、
村落の成立過程・領域性・百姓の生活圏を一望できる重要史料であり、
その意義を表紙と論考で総合的に示した点も、本号の特色です。
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地域史に関心をお持ちの方、また『令和版小千谷市史』提唱への動向を追う方にとって、
本号は確かな視座と新たな検討材料を提供する一冊です。
ぜひご覧ください。



