世界は贈与でできている | 読書日記 Reading Diary

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時間作って読んだ本も、読みっぱなしではもったいない…。

備忘録を兼ねつつ、まとめてみました。

実生活に少しでも活かすことができると良いなあ。

「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学(近内悠太 著)」を読みました。

この本は、贈与の原理と言語の本質を明らかにしたウィトゲンシュタイン哲学を理解し、世界の成り立ちを知り、生きる意味へとつなぐものです。
著者が幸運にして受け取ることのできたものを、メッセンジャーとして読者につなぐために書き上げたテキストである、と述べています。

「私たちが必要としているにもかかわらず、お金で買うことのできないものおよびその移動のこと」を「贈与」とこの本では定義しています。

この本から学んだことは…。
・贈与とは、モノを「モノではないもの」へと変換させる創造的行為であり、合理的であってはならない。


・無償の愛の正体は、反対給付の義務に衝き動かされた、返礼の相手が異なる贈与。

・贈与は差出人に倫理を、受取人に知性を要求する。

・贈与は返礼として始まるものでおり、贈与を受け取ることなく開始することはできない。

・信頼は贈与の中からしか生じない。

・思考と生活の流れの中でのみ言葉は意味を持つ。

・求心的思考とは、常識の枠組みの方を疑うのではなく、それを地として発生する変則性(アノマリー)を説明しようとする思考のこと。贈与を受け取るための能力。

・逸脱的思考とは、私たちの世界像を書き換える、世界と出会い直すための想像力のこと。根源的な問いかけを持つ。

・アンサング・ヒーローとは、評価されることも褒められることもなく、人知れず社会の災厄を取り除く人のこと。

・贈与は与え合うのではなく、受け取り合うものである。

・教養のある人とは、手に入れた知識や知見そのものが贈与であることに気づき、そしてその知見から世界を眺めたとき、いかに世界が贈与に満ちているかを悟った人のこと。

差出人を知られないように、でも時間が経ってから気づいてもらう…

学びの多い本でした。