この本はタイトル通り、歴史の使い方について書かれたものです。
「賢者は歴史に学び、愚者は体験に従う。」という言葉をドイツの宰相ビスマルクが残しています。
歴史に学ぶとは、歴史を使って現実を判定することであって、歴史を真似ることではありません。
成功体験には警戒し、失敗の経験こそ活かすもの、と著者は述べています。
この本から学んだことは…。
・歴史を使うには、今を歴史のどこに置くかが難しく、歴史を活かすには歴史の大きな流れを捉えることが大切である。
・現在起こっていること(現象)から原因を探し、原因の間から原理を究めてこそ歴史の学術的価値がある。
・歴史を「知る」
日本史の特質→継続性、単一性、純粋性。
西洋史→日本製の西洋史は「日のあたる場所」史であることを忘れない。
東洋史→中国の歴史。王朝史の人間ドラマ。現代史まで読もう。
すべての歴史を知り、大きな流れをつかむことで見えてくるものがたくさんある。
・歴史を「楽しむ」
歴史小説と時代小説の違い。
小説を読む、旅(歴史街道がおすすめ)をする。
・歴史を練る(理論歴史学の原則)
①証明されている歴史的事実のすべてを説明できる仮説でなければならない。
②判明している事実の空白を埋めるときは、事実として最もありそうなことを採用する。
③その時代の技術や社会環境と完全に合致していること。
④歴史上の有名人も、今日のわれわれ凡人と同様に、日常の些事雑務に追われて生きていた。
⑤技術条件を正確に考えること。
・歴史を「企てる」
目的を実現するためには、長期展望を常に意識していなければならない。
大義の裏に利害あり。実行するには手続きが必要。
・歴史を「穿つ」
世界が大転換するときは、倫理観と美意識の変更を含む、体制と発想の変換が必要である。
・歴史を「合わせる」
「今」に適した部分、「未来」に役立つところを選び出せ。
人間性と組織倫理は同じところを循環する。
・歴史を「活かす」
歴史が飛躍するとき、時代に乗り遅れるな!
歴史をどのように使い、現在に照らし合わせて共通点・類似点を見出していき明日への決断につなげていくのかとても勉強になりました。