終わらせたのは私だった。

「僕は愛してなかったよ」

私に背中を向けて、そういったキミは、いつもと同じ歩幅で歩く。

迷いも未練も何もないみたいだった。


この関係を終わらせようと言ったのは私なのに、それなのに、


(行かないで、私を置いて行かないで、)


私は何を考えてるのだろう。

さっきから音もなく流れる滴の意味にも気がつけずに、私はそこに突っ立ったまま、見えなくなる彼の背中を眺めていた。













愛してたのに。
(手放したのは私なのに涙が止まらなかった。)





過去形の別。
風が頬を撫でる。

暑いハズのその風が、少しひんやりしてる気がした。



「先に帰るって、」

うん、彼は不良のわりに純粋な子だから、まぁ、逃げるだろうなとは思っていたが。

(ちゃんと、荷物まで持っていったなぁ)

あたしがさっきまで持っていた分も含めて、全ての荷物も持って帰るあたりがなんというか、飛鷹くんらしかった。

「ちゅー、されちゃったなー」

ふにっ、と自分の唇に触ってみた。

アイスを食べてたから、なんか少しベタベタした。

「…あたしも早く戻らないと」

アイスの棒を地面へ投げ捨てて、熱い顔を隠すようにあたしは走った。














気がつくまでの、30秒。

(なんか今更、恥ずかしくなってきた…)







好きになった。のその後。
「寄り道、ですか?」

買い出しの帰り道。

純さんは突然、寄り道しようと俺の手を引いた。

「うん。あ、アイス買おうよ」

純さんが奢ってあげるっ。

胸を張ってそう言うが、その財布に入ってるのは純さんのじゃないだろ。

「でも、それ…」

「ん?アイスくらい良いじゃん、バレないって」

俺の言いたいことがわかったらしい。

なら、そういうことは止めるべきだ。(まぁ、怖くてそんなこと本人には言えないが)

コンビニに寄ってバニラバーを二本買って、近くの公園で二人ならんで食べる。

「えへへ、おいしいねー」

「…はい、」

ホントはあんまり、甘いものは好きじゃない。

でも、せっかく純さんが俺のために買ってくれたものなので嫌だとは言えなかった。(例え、彼女のポケットマネーじゃなくても)

「ね、飛鷹くんさ、サッカー好き?」

足元の小石を蹴って、そう聞かれた。

「…何で、ですか?」

「んー、なんとなく」

「…わかんないです」

なんとなく、そう言った純さんに俺は正直に答えた。

だが、本当になんとなくで聞いたらしく、純さんは、「そっかぁ」と短く返事をしただけだった。


「あたしはサッカー好きだよ」

「はぁ…?」

「だから、飛鷹くんもサッカー好きになりなよ」

楽しいよ、ここに来てやっと俺の顔をみて言った言葉。

その笑顔にどくり、と胸がなった。

「純さん、俺…、」

「なに?」


きゅ、と純さんの右手を握って、そっとキスをした。













好きになった。
(サッカーよりも、先にあんたが…)










「…飛鷹くん?」

ゆっくりと離れた俺をじっと見つめる純さん。

「…あ、いや、その、」

ハッ、として今、自分がやらかした事を後悔した。

「俺っ、先帰ってますっ」

熱くなる顔、俺は純さんの方を見ずに走り出した。






















後書き

え、誰?(笑)

飛鷹は可愛いよねって言いたかっただけです。