月森先輩が居なくなってから、一年。
花村先輩達も高校を卒業し、オレは三年に進級した。
そんなオレには勉強よりも頭を悩ませてるものがある。
「先輩っ、いつまで寝てんすかっ」
一人暮らしには広すぎる1DKのマンション。
そう、この部屋の主がオレの頭痛の種だったりする。
「んー?…あれ?完二学校はぁ?」
もぞもぞと毛布の中から顔を覗かせた志知花先輩を抱き起こす。
「今日は午前授業だって昨日言っただろ」
「まじかー。…忘れてた」
先輩は高校卒業後、大学に行かず此処に残った。
オレと居たいからと残ってくれた先輩の気持ちは、そりゃ、死ぬほど嬉しいけどよ、
「もうお昼かぁ。完二ー、お昼ご飯ー」
オレが甘やかしすぎたのかすっかり引きこもりのダメ人間になってしまった。
「今作るって」
まぁ、ダメ人間と言っても一応、仕事はしている。
家から出たくないからと、翻訳のアルバイト。
給料がいいからと、家庭教師。
後、時々花村先輩に泣きつかれ、ジュネスの客引き。
だからか、それなりに収入はあるみたいだ。
「お腹減った…」
「先輩が離れればもっと早くできるっす」
腰に抱きついたまま、離れない先輩を引きずりながらの調理ももうなれたが、やっぱり、いない方が作りやすい。
「えー、ちゅーしてくれたら離れてあげるよ」
「先輩いっつもそれ言って離れないからいいっす」
ケチ、と先輩はするすると腕を離したが、オレの言葉に機嫌を損ねたりはしてないらしく、鼻歌を歌いながらテレビをつけた。
「そー言えば、りせちゃんとか元気?」
「相変わらずうるさいっすよ。あ、皿」
「はいはい、完二は人使い荒くなったねー」
アンタよりましだよ。と思ったが言うのは止めた。(あんまり言うと夜が怖い)
「ごっはんー完二ママお手製のお昼ご飯ー」
「変な歌作んなっ」
「ケチだな、完二は。…あ、忘れてた」
最後の皿を運ぼうと振り返ったオレのシャツを先輩が引っ張る。
「お帰り」
ちゅ、と小さなリップ音に数秒遅れで皿を落としかけた。
そんな日々を
愛しく思ったりする。
「あ、完二顔真っ赤」
してやったりと、笑う先輩。
悔しくて空いた手で抱き寄せたけど、きっとそれも計算の内なんだと思う。
完二は年上に振り回されるといいよwww