—大丈夫?
 
優しくて、暖かい手だった。
 
こんな自分にあの人は手を差し伸べてくれた。
 
真っ直ぐ、オレを見てくれた。
 
 
「みんな嫌いだよ、大嫌いだ」
 
 
だから、きっと、嘘だ。
 
 
「あたしなんて、いらないよ」
 
 
震える声でそう言った先輩を隠すみたいに黒い物が包んでいく。
 
 
「志知花先輩っ」
 
 
名前を呼んで腕を伸ばした。
 
でも、あの人は泣きそうな顔でその手を振り払った。
 
 
「先輩っ…」
 
 
小さな拒絶。
 
 
嘘だ、志知花先輩がオレを置いていくわけない。
 
あの人が、オレを、拒絶するわけない。
 
心の奥で何かが騒ぐ。
 
 
月森先輩達の声が遠く感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その痛みの意味を、
僕はまだ知らない。
 
 
行くな、と叫んだ自分の声もあの人と同じように震えてた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
前回の『君を愛するが故に』の完二サイド的な…