乳酸が疲労をもたらす原因でないとしたら、疲労の原因は何なのか。現代の科学では「活性酸素」だということが分かっています。活性酸素ついては近年、老化や生活習慣病、シミ・シワ、白内障などの原因になることが分かっており、聞いたことがある人も多いと思います。

活性酸素とは、「呼吸で取り入れた酸素が体内で変化して、他の物質を酸化させる力が強くなった酸素」の総称で、具体的には4種類あるとされています。呼吸をしている限り活性酸素の発生は止められないため、人体には活性酸素の作用を抑え込む安全装置が備わっています。それが「抗酸化酵素」です。

脳と体で処理しきれない活性酸素が発生することが「疲労」の原因になりますが、活性酸素が脳に直接的に「疲労感」をもたらすわけではありません。近年発見された、疲労因子タンパク質の働きによります。疲労因子タンパク質とは特定の物質を指すのではなく、機能性を持つタンパク質の総称です。

脳内の神経細胞などが活性酸素で酸化されると、細胞内から老廃物の一種が排泄されます。そして、「活性酸素が細胞を攻撃して疲労因子タンパク質が増えてきた」という情報が、大脳に伝わって疲労感を表出するようになるのです。これを明らかにしたのは、東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤博教授です。

「乳酸=疲労物質」が長年にわたって定説のようになっていたのが、最近の研究によってそれが否定され、新たに疲労の原因として分かってきているのが、活性酸素による細胞の酸化です。これだけでも従来の概念を根底から変えるようなことですが、疲労に関してさらに解明されてきたのが、「疲労因子タンパク質」の発見です。

そして、さらなる発見が「疲労回復因子」という物質です。次回はこの「疲労回復因子」について解説します。

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