松浦雅也 Live in Kyoto 「hanashi-hanbun」 ライブハウス磔磔 | ぺけのブログ

ぺけのブログ

ブログの説明を入力します。

めずらしくアイドルや美少女とは全く関係の無いライブなのですが、好きな作曲家は誰?と聞かれたら真っ先にこの人の名前を挙げるほどのお方が単独ライブを開催するということで
昨年末に発表されたのを知ってからこの日をとても楽しみにしてました


ステージにはスクリーンがありプロジェクターで映像が流され、その傍らで演奏したり歌ったりという形で、機材はMacBook2台にコンパクトなシンセサイザーというのは多種多様なジャンルで様々な音を世に送り出してきた人なので少し意外な気もしました
開演時間近くなると客席後方のロフトのような控え室からギターケースを抱えてそろりと登場しチューニングや機材の確認を念入りにされてライブがスタート


静寂のなかスクリーンに文章のみがエンドロールならぬスタートロールのように流れていく形で表示され、30年近い音楽活動集大成のライブになるので今まで聴いた曲も聴いてない曲も今も新しく生まれ変わりつつある細胞になったような新鮮な気持ちで聴いて欲しいということや

このライブはレコードつきとチケットのみの2種類が前売りされていて、チケットのみ購入した人もまだ間に合いますよ(笑)といった宣伝なんかもあったり、最後にはPSY・Sの相方だったCHAKAからのメッセージが

PSY・S時代に素敵な曲を歌わせてくれてありがとうといった感謝と、4~5行ほどと短い内容だったのですが、さいごにメッセージは全文使ってもいいですよという念押しが
過去にメッセージかなにかを端折られたような伏線エピソードでもあったのか、なにやらふたりだけにしかわからない意味深なやりとりだったような



まずはクロックという幻想的なピアノのシンプルな曲にいろいろな写真や映像が走馬燈のように映し出されていって、12のみが並んだ時計の文字盤の写真はなにか不気味でもありましたが1から12までを表現された曲だそうで、そういえば初期のPSY・Sの曲は腕時計のCMソングとして使われていたので、そういう関係もあったでしょうか

そしてHipHopのリズムとNowLoading..のゲームでは当たり前の挨拶のようなこの文字列が表示されると、パラッパラッパーのfunny luvを演奏しながらヴォコーダーで気持ちよさそうに歌われて、このゲームは90年代まだ日本のゲームが世界をリードしていた頃にヒットして音ゲーを一般に広めた先駆者的なゲームで世界中のたくさんの人に聴かれた曲でしょうし、映像では彼が生み出した音ゲーのゲームキャラクターが勢揃いして行進していくのはとても愛らしく見えました

つづいてPSY・SのBRAND-NEW MENUの英語バージョンで、この曲は85年にシングルで発売されたあとアルバムでヴァージョンやアレンジが変わって何度か収録されていて、いずれもフェードアウトしていって終わるのですが、今回のライブではフェードアウトではなくそうやって終わる曲だったんだと今までわかってなかった結末を初めて知ったような、CHAKAボーカルの日本語から英語に変わったのもあって曲のタイトル通り新しい気持ちになれました

そしてspeed fighterはシンプルなヴォコーダーのボーカルのメロディーにベースとリズムが突き動かしながらエレピなどの音が絡み合い疾走していくような曲で、軽快なボーカル曲3曲での幕開けとなりました


MCでは今回Unityというゲームエンジンを使用しての映像がスクリーンに表示されることの紹介
これはUnity社の製作協力で事前に収録されたビデオを再生してるのではなくゲームのようにリアルタイムで表示されるCGでライブ中の音などを反映して変化するのが新しい試みになっていて、MC中にマイクで拾う話し声にもスクリーンに漂うポリゴンの物体が波を打って反応していたり、たとえばBRAND-NEW MENUでは町中を歩く女性の背景のビルがフラワーロックのようにうねうねとダンスしてるような映像だったり、京都なので古くから有る木造のライブハウスの磔磔が揺れるというサプライズもあったりと映像でもとても工夫されていて


WINtAは9.11のあとwar is not the answerとデモ行進する人々を見て作られた曲だそうで、ライブではノリの悪い人は撃たれるということで演奏中手が空くと客席を見渡して指で次々に撃っていくというお茶目な一面も、松浦氏は大阪出身で大体のノリのいい大阪人は撃たれたら死んだふりをしてボケるというお約束的なのもあるのですが、このライブのお客さん達はやはり関西だけでなく全国から集まっていたでしょうか?そういう雰囲気も楽しんでいたようで

huge hugも3.11のときに作られたそうで、どちらも悲惨な出来事が元になっているのに重い曲になってなくて、もちろんそういった悲壮感漂う曲も作れるんでしょうが音楽は楽しいものといった曲作りが根本にあるんだなあというのがこの2曲でうかがえます



このライブの開催を計画された頃はライブ半分トーク半分ぐらいになってしまうかなあと思ってこのタイトルになったそうなのですが、ゲームクリエイターとして海外でも認められ普段行われてる講演の時間も少し設けられ

まず阿修羅像や縄文土器の写真が映し出され、阿修羅像の手はインタラクティブな動きを3コマで形にして表現したり、土器のアバンギャルドな形はゆるキャラとかユニークなキャラクター作りだったりと日本は昔からこういったことが得意だったというのがうかがえて、主に海外での講演も多いからか日本の文化や歴史を紹介する役割も担ってる偉大な方で

バッハの楽譜が映し出されて、ピアノを習うときに両手をシンクロさせて演奏するのでつまづいたりする曲なのだそうですが、人はひとつだけでなくいろんな役割をこなすことで新しい世界を作っていき、ゲームの業界を志す若者にもうまくいかなくて他の業界へという人がほとんどなそうですが、成功か失敗かではなくいろんな役割にチャレンジできる世の中にするべきではないかといった考えで、これは人の生き方でもありゲームプレイにもいえることなのかと思います

ミュージックとビジネスのエピソードの話もあり、講演なので全体的にちょっと難しいのもありましたがゲームクリエイターやミュージシャンとしての考えを聞ける貴重な時間でした



ライブへと戻りr u ready? r u shure?はイギリスのスタッフがゲームスタジオをやめようかと悩んでいた頃に贈るために作られた曲だそうで、焦らずにゆったりとやっていこうといった曲調のところどころにare you shure?と引き留めようとしてるメッセージが込められてるような曲で、実際にはやめてからだいぶたってからできあがったそうで


そして「ちょっとギター弾きますよ」といった感じでシンセサイザーのブースを離れ眼鏡を外し椅子に腰掛けて左利きでのギター演奏へ


まずはエーデルワイスという曲を、花はよく知らないけど曲は美しいですねと、それ以上は語られなかったのですが、まずこの曲から披露したのは彼のギターライフにまつわる思い出の曲だったからなのかもしれません

つづいてlittle polar bearというPSY・SのアルバムHOLIDAYにオーロラの不思議な街として収録されていた曲で、もともとはキッズ向けの絵本ビデオの曲として作られたそうですが、ギター演奏ではのんびりした感じからテンポが速めで軽快な感じになっていました

CHILDはスウィートホームのサウンドトラックCDの方に収録されていて、ホラー映画ということで恐怖や張り詰めた緊張感が続くようなサントラだったのですが、最後のトラックで流れるこの曲は暗闇に差し込む光のようなあったかさを持った曲で

Wondering up and down(映像ではWandering U and Dという表記だったような)は自分がPSY・Sを知るきっかけになった曲で、なにげなく聞いていたFMラジオから流れてきたこのメロディーを聴いた瞬間、何なんだこの曲はと思いすぐさまCDショップへ買いに行ったのを今でも思い出せて、20年以上たった今でもいつ聞いても変わらずそのときと同じ衝撃を受ける曲ですし、この曲を生み出した張本人自身のギター演奏を目の前にして弦をはじいて奏でられる美しいメロディーを聴ける体験が出来たのは一生忘れられないライブになるでしょう


そして演奏を終えてギターをケースに収めると「いやぁ緊張しましたね」とひとこともらして再びシンセサイザーのポジションへ
PSY・Sの曲を演奏するのはどこかやりにくい部分もあるそうで、僕以外に演奏する人も居ないのでしょうが無いかなあといった感じで話されてました



スクリーンには高原を羽ばたいていく鳥の群れのCGが映し出されてそれをご覧下さいという感じで手を掲げて、私は流行、あなたは世間のストリングスが響いて
PSY・SのファーストアルバムからCollectionでのオーケストラアレンジを経てそしてこのライブでの演奏の変容、そしてやがて消えてゆくという30年近く前にPSY・Sのふたりがつくった歌詞が時代をくぐり抜けてこのライブで物語っているようなセンチメンタルな曲なんだと思い知らされます


そしてそのなんともいえない余韻を吹き飛ばすようにピングーの鳴き声が響き渡り、ピングーラップへ
ピングーの何語かよくわからない独特な文字にも出来ないような歌詞だったり台詞がスクリーンのスマホの画面にショートメッセージで次々と文字化けやスタンプで会話をしていくような映像で表現されていて、一気にピングーのかわいらしさでとても和んで


星空のハートエイクという曲は33年前のアマチュアバンド時代にもこの磔磔で未完成のまま披露して、それからPSY・Sのファーストアルバムに収録されたあともなにか未完成ということを引きずってしまっていたそうで、タイトルも新たにCoeur briseというフランス語にチェンジして披露して、33年前のリベンジのようなものは果たせたでしょうか?

つづいてKissesという曲は夏休みに入ったわくわく感になる爽快な曲で、両手で電気のびりびりを客席に放出するように歌もシンセもすごく楽しそうに演奏されていて

Woman・Sは元曲もイントロが1分以上と長いのにこのライブではさらに長くアレンジされていて、手刀でアクションするとスクリーンの映像のオブジェクトが切れたりなパフォーマンスもあってさらに楽しそうで、PSY・Sの中からこの2曲がチョイスされるのは女性目線的な歌詞なのもあって少し意外なところもありながら、ライブをやるならこの曲は欠かせないというのもあったのでしょうか

そしてウンジャマ・ラミーのGot to Move!はゲームでもラストステージの曲ということで、曲が終わると「これで今日の曲は全部です」と暖かい拍手が送られる中あっさりとステージから立ち去ってライブが終了かと思いきや
同級生の方も見に来られていたそうで、知り合いの方に半ば強引に押し戻されるような形でアンコールに

PSY・Sの頃はアンコールで曲を用意しとくのはわざとらしくて嫌だとかなにかの番組で語られてたよう記憶もあるのですが(CHAKAのほうだったかも?)Unforgettableというジャズのカバー曲を映像も宇宙空間で太陽のキャラクターからの赤いコロナが演奏する音に合わせて放出され太陽系を漂う惑星に降り注ぐようなのがしっかり用意されて、優雅な気持ちで終了かと思いきや、またしてもステージへ押し戻され、さて曲も用意してなくて困ったぞとライブの最初の方で披露したBRAND-NEW MENUとspeed fighterを再び続けて歌って答えてくれ終了となりました



ソロとしては初めてのライブで、100万本や200万本のセールスを記録するような作品を生み出した人がなぜ100人や200人ほどの限られた人しか参加できないような規模で、しかも自らライブハウスのお問い合わせにメールしてまで開催しようとしたのか不思議でならないのですが、音楽をどうすれば楽しんでもらえるかをPSY・Sだったりゲームだったりといろんなコンテンツで提供してきた人が行うライブなのだから面白くないわけがなくて、30年以上の音楽活動集大成の思いがぎっしり詰まったライブは昔の曲から最近の曲まで様々なのに懐かしさとか古くささを感じないほど洗練されていて、Unityによる音と組み合わせた映像表現も面白く、そして52才とは思いたくないほど2時間ひとりでぶっとおしで演奏と歌とトークで楽しませてくれるバイタリティにも驚かされました


10年以上製作に時間がかかってしまったというBeyooond!!!のアナログレコードは、レーザーディスクが廃ってからこんな大きなメディアを抱えて帰るのも久しぶりで、そういやA面B面ひっくり返して聞いてた頃もあったっけと懐かしい気持ちもありながら、プレイヤーが家にもうないので聞けないしなんでまたレコードで発売なんだろうという疑問も、しかしレコードが聞けない人のために音源のダウンロードコードもきちんと用意されていて、こちらでも曲がアップデートされたり新しい曲が追加されていったりもしてまた新しい音楽の提供の仕方もちゃんと考えられてたりするのかなあと思います