池澤優先生のご退職記念講演「儒教の祖先祭祀は史実として扱えるか?」を拝聴してきました。

 

率直に申し上げて、たいへん感銘を受けました。

聴くことができてよかったとこれほど強く感じた講演は、これまでに無かったかもしれません。

 

研究対象を、そして研究という営み自体を面白がり、

謙虚かつ誠実に分析を行い、

未知のものが自分のなかに入ってくることを悦ぶ。

 

やはり先生は研究者の模範でした。

 

池澤先生は拙博士論文の審査員五名のうちのお一人ですので、私にとって「師」であり、研究室でともに働かせていただいた「仲間」でもあります。

 

「ペッタッツォーニが宗教学に与えた一番大きなものは、対象との距離の取り方である。」

宗教学(イタリアの場合は宗教史学)を理解するうえで、またペッタッツォーニを理解するうえで、この見解はとても重要なものなのですが、実は、博士論文の口頭試問における池澤先生とのやり取りから生まれたものです。

 

先生はいつも「拠りどころ」を与えてくださるよな、と考えつつ

とてもあたたかいものを抱えて、家路につきました。