気難しい顔つきの、誇り高き中年おじさんねこが主人公『ねこのホレイショ』 | B/RABBITS(ビーラビッツ)のおしゃべり・絵本

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絵本専門古本屋(児童書)を13年経営していました。手と腕を壊して休業中です。この機会にもう一度、絵本や好きな本を見つめ直します。お店で"おしゃべり"していたように、本以外についても"しゃべる"ように書いています。


現在、体調が悪化しまして、ずっとブログを更新できずにおりました。
にも関わらず、大勢の方が過去blogにアクセスしてくださって、感謝の気持ちでいっぱいです。

具合が悪いと活字が読めなくなり、Twitterやblogも書けませんでした。
励ましのmessageをいただき、やっとスマホを手に持つことができました。

病状や病気のことは辛気くさくなるので、あまり書かないことにします。いつも明るい"ビーラビッツのおしゃべり・絵本"のblogでいたいので。

絵本好事家阿呆一代女として、絵本の魅力を伝え続けたいです。


久しぶりに手にした、中年のおじさんねこが主人公の『ねこのホレイショ』。

かわいいこねこが主人公の絵本が多いなか、ちょっと太り気味で、気難しい顔つきのおじさんねこのお話です。

『ねこのホレイショ』1968年
                           エリナー・クライマー/文
            ロバート・クァッケンブッシュ/絵
                 阿部公子/訳  こぐま社(1999年)


可愛がられるより、尊敬をこめて扱ってほしいと思っているおじさんねこのホレイショ。

いっしょに暮らすケイシーさんは、よその動物にも親切過ぎると、不満がつのらせていました。
ある夜、騒々しい家には帰る気にはなれず通りにでました。

出会ったやせっぽっちの2匹のこねこがついてきて、しぶしぶあれこれと面倒をみるはめに…。

こねこたちを連れて家に戻り、ケイシーさんに抱きしめられるホレイショ。

あの気難しい中年のおじさんねこホレイショは、こねこの世話をして気づいたのです。可愛がられることもそう悪くはないってことを…。


中年のおじさんねこホレイショは、親がいないお腹の空いたこねこたちを、ぎこちなく不器用に世話をします。

不機嫌になり、戸惑いながらも、いたいけに鳴くこねこたちの面倒をみるホレイショ。
ほんとは、いいおっちゃんなのです。

ゴムのようにやわらかい板のリノリウム版画の絵は、素朴で味わい深く、ねこの表情や姿態が何ともおかしみがあり、しなやかであたたかく描いています。

シンプルでグラフィカルな色彩は、ホレイショの不機嫌な表情を引き立て、ストーリーと交差しています。

タテ約18×13㎝の小さめな絵本を読み終えると、愛すべき中年おじさんねこ"ホレイショ"を、ごろごろ、ごろごろと鳴かせるように、無性に撫でたくなることでしょう。

※最後にぎこちなく笑うホレイショの顔が、たまらないです。