スウェーデンの小人たちがたくさん登場する絵本『フィリッパ・ラズベリーのうた』 | B/RABBITS(ビーラビッツ)のおしゃべり・絵本

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絵本専門古本屋(児童書)を13年経営していました。手と腕を壊して休業中です。この機会にもう一度、絵本や好きな本を見つめ直します。お店で"おしゃべり"していたように、本以外についても"しゃべる"ように書いています。



『フィリッパ・ラズベリーのうた』
                            (1960年/1980年)
         エヴァ・ビロウ作・絵 石津ちひろ文
                              フレーベル館(2008年)

エルフやピュスリング、トロールやトムテ、スウェーデンの小人クニュット(クニット)たちが登場する楽しい絵本です。

"ゆかいなピュスリング"…?
リンドグレーン作『親指こぞうニルス・カールソン』=『Nils karlsoon Pyssling 』のPysslingピュスリングだぁ…懐かしい。

森に住むちっちゃな人たちのお話が、こんなにたくさん書いてある絵本です。

【裏表紙】

エヴァ・ビロウ*(作家紹介より)

1902年スウェーデン生まれ。
10歳の頃、絵本作家エルサ・ベスコフと出会い、この世界に入ることを決意する。

ストックホルムの美術学校を出たあと、同校でデッサン、描き文字、広告、書籍関連と多岐にわたる科目を教え、40年以上教員として勤めながら、絵本制作に携わる。

1946年スウェーデン書籍美術会年間優秀賞を受賞。同賞はその後3回受賞。
1961年エルサ・ベスコフ賞を受賞。

こんなにも可愛いスウェーデンの絵本があるなんて、2008年にフレーベル館から出版されるまで知りませんでした。
出会えてよかった絵本です。

森のなかで楽しく暮らす小人たちの絵は、表情豊かで動きがとてもユーモラス。単色の絵は色がないだけに、かえって生き生きとした小人たちの様子が、鮮やかに伝わるように思えます。

絵を見ながら脳裏には、それぞれの思い浮かんだ色で、彩られているような気がします。

エルフの奥さんのわがままほうだいの7人の子どもたち。ハシバミの小枝を7本折ると、あら不思議。少しだけお利口さんになったとさ。



トムテのポンペが作る帽子と、取りかえっこをしたくて、みんなプレゼントを持ってくる。クマは手作りのキャラメル、ノウサギはとりたてのキャベツ。リスはへんてこな飾り物。



雨のこどもが苦手なものは、輝くお陽さま。晴れの日に出かけるときは、傘をさしてレインコートを着て、暗い顔して歩いている。

ラズベリーを取るエルフの子どもたち。

ラズベリーがなくなる頃には、エルフの子どもたちは口が真っ赤。ブルベリーがなくなる頃にはエルフの子どもたちは手のひらが青く染まる。


ローズ・ヒップのすぐそばの古い帽子に住んでいるサラ・シュガー。

ヨットになったり、小鳥のパイロットに小麦を2本わたして、高い空まで飛べる古い帽子。


ムカデのおじさんが靴のセールをやっていると勘違いしたマルハナバチのおかあさん。



森の妖精スーセリンダの松ぼっくりの牛。


深い森の奥の切り株に住み、いつも鼻風邪をひいている"おにびもり"。

あたりがすっかり暗くなる頃、長いコートをきちんと着込んで、"おにびもり"の帽子をかぶり、小さなエルフやクニュットたちが道に迷わないようにあかりを灯す。


この絵本の小さなお話を読んだら、スウェーデンの小人たちのことを、もっともっと知りたくなってしまいました。

小人と妖精 絵本・ファンタジー作品リストを調べたら、300冊以上ありました。
                     ひゃぁ~!!!!


国際子ども図書館で平成18年に展示会があった「北欧からのおくりもの」の資料を見ても、読みたくなる本ばかりです。


エヴァ・ビロウの絵本は他に『ハリネズミかあさんのふゆじたく』『のいちごそうはどこにある?』が出版されています。

冬になったら、深い森に住む小人たちの絵本や児童書を読む楽しみが増えました。


フィリッパ・ラズベリーのひらめきで、葉っぱの傘が生まれたよ!