「I・O」の研究もアナログ盤でいうとA面最後の「未来永劫」まできました。この曲は音楽をやる人ならばすぐにわかりますが、曲自体は4つのコードの循環でなりたっています。とってもシンプルな曲です。反して、音の構成はとても厚く、この曲などはまさにギター1本の多重録音なのですが、とてもギターだけとは思えない、まさに新津ワールドを代表する楽曲となっています。
実は音作りもけしてトリッキーなことはしていません。エレクトリックギターのエフェクター類もディストーションと、当時出始めたばかりのフランジャーだけ。冒頭の美しいアルペジオ、そして、バロック展開した後のメロディーにかぶる轟音は、そのフランジャーあっての効果です。ギターのエフェクターではありませんが、この曲ではやはり当時出始めたばかりのデジタル・リバーブの効果が大きいですね。澄み渡った残響音は、おそらく従来のスプリング式では得られないものです。
アルペジオに続いてディストーション・ギターによる主旋律。やがてもう一本のギターとの絡み合い。だんだんとドラマティックに盛り上げていきます。そして、倍速ギターによるバロック部分。ここはデモテープに比べておとなしめにまとまった感がありますが、当然のように何テイクも録られています。本当に完璧主義を地でいく人で、妥協という言葉は彼の辞書にはありませんでした。ずっと付き合っていたフィリップスレコードのエンジニアの宮○氏…。さぞかしたいへんだったでしょう。でも、楽しんでいた様子もうかがえました。でなければ朝まで付き合えませんからね、新津章夫なんかに。
ラスト部分、2本のギターが空を舞う二頭の竜がお互いを攻めあうがごとく天に上り詰めます。そして、エンディング。SEはこの曲の原題「シャッハウゼン」を表現したものです。シャッハウゼンとはドイツのライン川の途中にある滝で、華厳滝のような落差の大きな滝ではありませんが、しかし雄大な、120㍍の川幅一杯に20㍍強落ちていく迫力満点の滝です。これを見た新津章夫が、その光景を曲に描いたのが「未来永劫(シャッハウゼン)」なのでした。水音とともにストリングスの音色が聞こえます。懐かしいローランドのストリングスです。