休日の朝、起きたら雪だった。

 
いよいよ北国は長い冬に入ります。
 
 
 

 
「昔の本を読み返した話」の続き♡

 

 

 

11月の頭に、加賀でセミナーと温泉合宿をしました。

 

短い旅のお供に選んだのはこの本。

  

 


 
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
が国宝級過ぎる川端康成の「雪国」。
(温泉行くから、きっとこんな気分になった笑)
 
 
連れて行って良かった♡
 
 
初めて読んだのは18か19歳。
バイクで北海道を巡っていた時。
知床で1ヶ月居候していたその家で読んだ。
 
男たちは釣りや山に出かけるのだけど、私は一日中暇で仕方なかったのだ。
 
 
 
当時はなんだかよくわからないまま、
何かスッキリしないまま読み終わった記憶があるのだけど
 
37歳の今、なんていうか
余韻・・・みたいなものがずーっとある。
 
 
解釈は、「自分が思ったままでいいか」ということに落ち着いた。
 
 
 
 
この物語は一言で言えば、
旅人「島村」と、芸者「駒子」の、ゆきずりの愛の物語。
 
島村は都会に妻子があり、年に1度、温泉宿で芸者をしている「駒子」に会いにくる。
 
時間が曖昧で、回想も行ったり来たりするからはっきりしないけれど、多分3年間くらいの繰り返しの物語。
 
 
お互い「その場限り」だとわかっていて
変に深入りしないし、それを楽しんでいる。
というように見えるけど、本心ではお互いとても惹かれている。
 
でも、妻子を捨てたり、自分の人生を全て捧げる、という「選択」はない。
 
その心の中の描写が、とにかく感覚的で美しい。
 
わかりやすく「この人がこう思った」「あの人がこう感じた」ということではないんだけど、山や虫や雪や女の描写から、主人公の気持ち、感覚がブワッと乗り移ってくるみたい。
 
 
 
夜、合宿が終わって部屋に帰ってからも、島村と駒子のことを考えていた。笑

 
 
 

でね、3年目くらいかな?

 

島村が駒子に「いい女だね」っていうシーンがあるんです。

 

 

駒子は最初、照れたように笑ってるんだけど、ふいに我にかえって、

「それ、どういう意味よ!!」って激昂するんです。

「あんた、やっぱり私を馬鹿にしてたのね!」って。

 

そして激しく泣くの。

 

島村は、その駒子の「思い違い」に、また胸を打たれる。

 

という流れなのだけど・・・

 

 

 

 

 

ここが、当時から謎だった。

 

何をどう勘違いして、駒子は怒ったの?

最初「いい子だね、いい女だね」って言われて照れてたのに、

「都合のいい女」って言われたと思ったのかな?

でもなんか違うような・・・

 

18、9の私は、イマイチよく分からないまま、読み終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、絶対にそうじゃない!!って感じた。

 

で、今は「ネット」があるので、色々調べて見た。

 

 

そしたらやっぱり

 

「都合のいい女」と言われたと勘違いした、とか

「アソコの具合がいい女」と言われたと勘違いした、とか(笑)

 

そんな解釈ばかり出てくる。

出てくるもの、全部そう。

 

 

 

 

え〜〜本当にそうなのかな・・・

こんなに美しい作品で、そんなくっだらない事なのかな・・・

 

って、加賀ではずーっと考えていたのです。

 

 

 

 

でも、最初にも言ったけど

解釈は、「自分が思ったままでいいか」ということに落ち着いた。

 

 

超名作でも、

私が感じたままで、いいや。

 

 

 

 

 

魯山人が書いた「鳥」

 

 

 

 

駒子は「都合のいい女」と言われたと思ったんじゃないと思う。

 

 

だってそんなの、今までずっと「都合のいい女」をやってきた。

駒子は自分で進んで自虐的にやってきた。

 

せっかく「都合のいい女」で居たのに、

せっかくずっと抑えていたものを、「いい女だね」という、島村の愛が見えるような言葉で、破かれたから怒ったんじゃないかな?

 

「島村が、自分のことを大事に思っている」

それを島村から感じてしまったから、怒ったんじゃないのかなぁ。

 

だって、それまで何年も「もう帰りなさい」なんて颯爽とした女のフリをしてたのに

そんなこと言われたら、「帰らないで」って言いたくなるじゃない。

 

「軽々しくそんなこと言うなよ!!」

って言う意味の「怒り」じゃないのかなぁ。

 

 

 

そして、そんな駒子に対し、また「島村は胸を打たれた」ってことじゃないのかなぁ。

 

 

 

 

 

最後の方にね、

 

「ねえあんた、私をいい女だって言ったわね。行っちゃう人が、なぜそんなこと言って、教えとくの?」

 

「泣いたわ。うちへ帰ってからも泣いたわ。あんたと離れるのこわいわ。だけどもう早く行っちゃいなさい。言われて泣いたこと、私忘れないから。」

 

って言うセリフがあるんです。

 

 

ここに、駒子の気持ちが詰まっていると思う。

 

 

 

 

 

物語の解釈の「正解」はわからないけれど

 

私が感じた駒子の気持ちを、他の全ての人と違うからと言って

「これは間違いだ」としなくてもいいか、と思った。

 

 

昔はいつもこうやって、

「私が感じたことは間違いなのかな」って思ってきた。

 

他の人はどう感じたんだろう?

本当のところはどう解釈するのが(どう感じるのが)正しいんだろう?

 

そう思って、自分が感じたことを「間違いだ」と、自分でジャッジしたこともある。

 

 

でも、たとえ書いた人との意図が違ったとしても、

それでいいや。

 

 

また、改めてそう決めた♡

 


 

37歳の今、「駒子」の気持ちがこんなにも分かることが、嬉しい。

  

 

 

 

ちなみにやっぱりどうしても他の人の意見が聞きたくて

KADOKAWA担当清水さんに「雪国のいい女、清水さんの解釈、聞きたいです」って聞いたのですが

「温泉入りて〜!!日本酒飲みて〜〜!!」しか返信がありませんでした。

 

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