漫画『スーパージェッター』Part1:「ファン」にとっての久松文雄代表作① | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

今日は。
ここ何年かSFの世界では、中国の作家「劉 慈欣」のSF小説『三体』シリーズが、中国本国はもとより日本・アメリカで話題になっています。

僕は、『三体』シリーズに続き、最近、その二次創作作品の『三体X』(宝樹 作)を読み終えました。
その話の後半に、「反重力」という言葉が登場しました。
この言葉を最初に耳にしたのは、小学生の頃、読んだ久松文雄『スーパージェッター』でした。
また、最近「空飛ぶ車」が話題になっていますが、思い返せば、その最初は『スーパージェッター』に登場する「流星号」ではなかったでしょうか?

 少し年月が経ってしまいましたが、2021年に逝去された久松文雄の追悼を込め、『スーパージェッター』について書きたいと思います。

<漫画『スーパージェッター』Part1:「ファン」にとっての久松文雄代表作①>

まずはこの動画から。


〇スーパージェッター OP

 

 

 https://youtu.be/oAGgela6WE4

  
●『スーパージェッター』 久松文雄
 久松文雄というと、僕にとっては『少年忍者風のフジ丸』そして『スーパージェッター』の作者です。
ですが、両作品とも、アニメ作品でもあり、今から考えると、久松はアニメのコミカライズ担当だと思います。
その前に、東映で『少年忍者風のフジ丸』のキャラクターを、『スーパージェッター』はTCJ(現 エイケン)でのキャラクターデザインを担当しています。
その縁もあり、マンガ作品を『少年忍者風のフジ丸』(1965年)を月刊誌「ぼくら」、『スーパージェッター』を「少年サンデー」に掲載しています。


 「キャラクターデザイン」は作品において重要な位置にあります。
少年がターゲットだったこの頃の漫画やアニメでは、少年受けする顔が漫画・アニメ成功において重要なファクターとなると思います。
特にアニメにおいては更に重要度が増すのではないでしょうか?



 正直に言いますと、当時、小学2・3年生だった僕には、両作品とも、アニメの印象の方が強く、掲載マンガは『風のフジ丸』はうる覚え、『スーパージェッター』はもう少し、はっきりではありますが、覚えている程度です。
今回そんな『スーパージェッター』読み直しました。

●マンガの連載
 「少年サンデー」連載1965(昭和40)年1月1日号(1号) - 1966年1月9日号
  アニメは1965(昭和40)年1月7日から1966年1月20日までTBS系列局で放送されました。


 Part2以降で書きますが、実は正確にいうと、この作品の原作は久松のオリジナルではありません。
 豊田有恒半村良眉村卓筒井康隆辻真先等の複数からなるSF作家が担当しています。

今回は、扶桑社文庫『スーパージェッター』(Vol.1・2) 2巻をベースに書きます。
(写真:扶桑文庫)

●ストーリー
  
●主な登場人物
 〇ジェッター:
  タイムパトローラー(時間捜査員)タイムパトロール723567。
  タイムマシンを操り、未来や過去に逃げる犯罪者たちを捜査する。
  ジェッターは二十世紀の人間の五倍の力、IQ200の頭脳の持ち主。
  ジェッターの持つ30世紀の主な装備は、
   *反重力ベルト:重力を中和することで宙に浮いたり、空を飛ぶ。

     
   *パラライザー:人間を傷つけることなく、ビームで相手を

     30分ほど痺れさせ気絶させる。

    
   *タイムストッパー:愛機「流星号」との連絡を可能にし、

    「30秒間時間を止められる」時計型装備

     
   *流星号:車型のタイムマシンであり、マッハ15で飛ぶ

     ジェッターの愛車。 
  


 〇新聞記者 カオリ

 〇国際科学捜査局ISI 西郷長官
 
  


  〇ジャガー :30世紀の犯罪者
  
 

●物語 あらすじ

 いつも事件はカオリがいるところから始まります。
闘いの相手は、30世紀の犯罪者「ジャガー」、20世紀の「ハイド博士」や「オーロラ博士、そして30世紀の天才科学者「スパイダー」で、SF設定なので天才科学者が多い。

<Vol.1>
●未来から来た少年
  
 廃墟の街にスクープを取りに来ていた、カメラマンのカオルが偶然に指名手配中のバリコンに会う。
ここはウラン鉱の宝庫だった。

そこに突然、空から飛行機型自動車(流星号)が落下してくる。
乗っていたのは、30世紀から来た「時間捜査員」ジェッター。

 30世紀は、地球上に素晴らしい文化と科学を築き上げていた。
人類は銀河系宇宙全部に広がり、時間旅行もできるようになっている。
30世紀では、指名手配中のジャガーがタイムマシンをうばって過去に逃亡したため、ジェッターに追跡して逮捕するように命令がでた。

ジェッターは流星号で追跡をするも、逃げたジャガーのマシンに、時間の流れの中で衝突し、流星号の「時間航行装置」(タイムマシン)部分が故障し、20世紀に落ちてしまう。
落ちて来たジェッターはカオルともにバリコンに捕まってしまう。

 バリコンから逃げるが、30世紀に帰れなくなったジェッターは、カオルに国際科学捜査局の西郷長官のところに案内され、未来に帰れるまで、二十世紀のために働くことにする。

●ハイド博士の陰謀   
 ジャガーはバリコンにボスで20世紀の天才科学者ハイド博士のところに連れていかれ、「電子防御膜バリヤー」の開発に協力する。
ハイド博士は体が弱く、病気がちなため、博士の優秀な頭脳を屈強な体を持つ犯罪者に移し替えられ、優秀な頭脳と恐るべき犯罪者の心を持つ男として、うまれかわっていた。

 博士のいる灯台から出る電子防御膜はマッハ15でも跳ね返す。
ジェッターに知られたハイド博士は、灯台に時限爆弾をしかけて、他に移る。
追いかける、ジェッター。
超音波ビームで、ジャガーたちは、北極海に消えてしまった。

●オーロラ帝国 

 (200頁を超す中編の作品)


 「物質電送機」により、空から突然現れた超精密なロボット少年「ノア」。
その少年を穴倉博士が修理するが、記憶を失っている。
そんな中、ノアを襲うロボット爆弾「VX2号」「XQ3号」からジェッターが救う。

 修理されたノアは再びロボット「DC8」に襲撃され、記憶を取り戻すノアだが、再度襲われ、ノアは消える。
西郷長官の依頼で、ノアの捜索に北極海にカオリと向かうジェッター。
そこでロケットに二人を襲われ、海に逃げる流星号に待ち構える「自動警戒網」の「機雷」。

 ジェッターは捉えられ、オーロラ博士の要塞に連れていかれる。 
 オーロラ博士は、人間と同じように考え、人間と同じように行動するロボットを大量に作り、地球全体をロボットにした「オーロラ帝国」にしようとしていた。
 
 工場では、「同じことをしなくてならないかと気が狂いそうで、もっと考える時間が欲しい」と嘆くロボット「M3号」が現れる。
ノアも同じことを言っていた。
「できそこない」と「M3号」を分解するオーロラ博士
急に倒れるオーロラ博士。実は博士自身も、「PR爆弾」(核)に侵され、脳だけが人間のサイボーグだった。

 長くなりました。
続きは、今回イレギュラーで水曜日に公開予定の「『ファン』にとっての久松文雄代表作②」へ。

 

〇『スーパージェッター』主題歌フルバージョン 1965~1966

 

●おまけ

 アニメのオープニングのフルバージョンをお届します。

 アニメでは「ジャガー」の顔に少し違和感があります。
 漫画では、「ジャガー」には目がないのに、アニメではそうはいきませんね。

〇『スーパージェッター』主題歌フルバージョン 1965~1966

 

  https://youtu.be/FTI3eO735MQ