さだまさし(第四回:コミックソング『雨やどり』):私的日本フォーク列伝第二章(Part2) | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

 今日は。

皆様、GWはどのようにお過ごしでしょうか?

それも明日から、通常の生活に戻る方も多いのではないでしょうか?

連休が長かったので明日から学校や会社に行きたくないなあという気分になる人が多いのではないかと言われてますね。

 

暫くブログを書かない間に新しい時代「令和」に入ってしまいました。

ついこの前までなんでも「平成最後の~」といわれましたが今度は「令和初の~」という呼び方に変わりました。

何か新しい時代が始まるという期待に胸を膨らませている方も多いのではないでしょうか。

 

 

さて、久しぶりのブログはさだまさしの四回目です。

今回もお付き合いください。

 

 

<さだまさし(第四回:コミックソング『雨やどり』)

       私的日本フォーク列伝第二章(Part2)>

 

 第二回「さだまさし:「詞と詩」)で「僕にとっての軌跡のさだ三部作」と書きましたが、さだまさしがブレークするきっかけとなったシングル『雨やどり』忘れていました。
このシングルは『帰去』とセカンドアルバム『風見鶏』の間に発表されています。(77年3月)
このシングルかなりヒットしてオリコンでい1位を獲得しているんですね。

その後の大ヒットシングル『関白宣言』の160万枚?にはかなわないまでも、かなり売れました。

僕もこのシングル持っていました。

先日、実家のシングルレコード入れを探しましたが、さすがにこのレコードは見つかりませんでした。

特筆すべきは、このシングルはライブ盤なんですね。
このシングルがでるまで、この曲はLP等に収められていませんから、最初のレコードでの発表がLIVE盤ということになります。

そのせいか、曲の進行に合わせて、観客の笑い声が入っています。
それも、いわゆる「黄色い声」。
若い女性がけたけた笑っているのです。
聞いてみましょう。
 
〇雨やどり

https://www.youtube.com/watch?v=UEENuIjmPTk

 

今までの曲というか、詩と全く違います。
シングル仕様の曲というのは聞いたことがあります。
それは、キャチ―なメロディーで、あまり長くない時間(分)で。

でもさだの場合は、シングル仕様の「詩」はないでしょうか。

結局は、彼氏の胸に飛び込み、雨宿りし、結婚するというストーリーなのですが。
こんなフレーズでこの曲は始まります。
 
あれはまだ、私が神様を信じなった頃
9月のとある日曜日に雨がふりまして
こんな日に素敵が彼が現れないかと、思ったところへあなたが雨宿り

 

詩には、ところどころにキラーフレーズがはめ込まれています。

・前歯から右に四本目に虫歯がきらり(観客 笑)
・スヌーピーのハンカチ 傘の方がよかったかしら(観客 笑)
・あの人にもう一度合わせてくださいませませ

・自信たっぷりに紹介したら、靴下に穴がぽかりん
 あわてて隠したけどしっかり見られた(観客 笑)

傘を持っていたのに、スヌーピーのハンカチを貸してしまうドジな少女。
 
 ここでコンサート会場は笑いが起こっています。
まともな曲で嘉門達夫の替え歌ばりに、こんなに笑える曲、他にあるんですかね。
 
時々、山下達郎のラジオ番組「サンデーソングブック」の特集番組でかかる「珍盤・奇盤」のようなブラックユーモアの曲でもありません。
大瀧詠一『イエローサブマリン音頭』『ラストダンスはヘイジュード』のようでもありません。
さだの詩にはもっとほのぼのさせる何かがあります。
詩そのもので、聴衆を笑わせる
 
まるでマンガでいえば、みつはしちかこ『ちっちとサリー』のような雰囲気の曲。
なんか、兄貴と仲がいい少女がおかしく、ほほえましいですね。
 
その彼女が、今までしてなかった口紅をさすのだから、母や兄はびっくり。
そしてその彼女が、初詣に、晴れ着の裾をまたその彼に踏まれるという落語じみたストーリー展開。
最後の落ちが、気を失って気がついたら、彼の腕に雨宿り。
ある意味、落語だと思います。
落ちはわかっているんだけど、何度聞いても笑ってしまうから不思議です。
 
 
でもこの曲、ある種の「コミックソング」だと思いませんか。
「コミックソング」がさだのもうひつつの持ち味だと思います。
シリアルな曲とその裏のコミックソング。
いやシリアルな曲とコミックソングの両立がさだのさだたる所以かもしれません。

 実は、この曲にもう一つバージョンがあります。
そのさだが、その後にアルバム『風見鶏』 に『もう一つの雨宿り』を収録しています。
 
〇「もう一つの雨やどり」
 
  https://www.youtube.com/watch?v=FJxZWKZvkLQ
 
 どうです。
 二つの作品に登場する少女はまったく別の性格ですね。
 実は、『もう一つの雨やどり』が本来だと、さだ本人がセカンドアルバム『風見鶏』のライナーノーツで次のように打ち明けています。
 「僕が怖かったのは、「愉快に」にかき消されて死んでいく「雨宿り」の本質。
  蛇足だと知りつつ、あの大ヒットシングルで問いかけたはずの答えを口に出してしまった。もうひとつの心配性。。。」
 
 『雨やどり』と『もう一つの雨やどり』については、今後書けたらと思います。
 
<雨やどり>
  それはまだ私が神様を信じなかった頃
 9月のとある日曜日に雨が降りまして
 こんな日に素敵な彼が現れないかと
 思ったところあなたが雨宿り
 
 すいませんねんというあなたの とても凛々しくて
 前歯から右に四本目に虫歯がありまして
 仕方がないので、買ったばかりのスヌーピーのハンカチ、貸してあげ  
  たけど傘の方がよかったかしら
 
 でも爽やかさがとてうも素敵だったので
 そこは苦しいときの神頼み
 もしももしもできることでしたれば
 あの人にもう一度会わせてくださいませませ
 
 ところで偶然というやつはとても恐ろしいもので
 今年の初もうでで私の晴れ着のすそ踏んづけて
 ありゃまたすいませんねという 前歯に虫歯がきらりん
 夢かと思って頬つねったら痛かった
 
 そんなバカげた話は今まで聞いたことがないと
 ママも兄貴も死ぬほど笑い転げる奴らでして
 それでも私が突然口紅などつけたものだから
 お前大丈夫かとおでこに手を当てた
 
 本当ならつれてきてみろというリクエストにお答えして
 5月のとある水曜日に彼を呼びまして
 自信たっぷりに紹介したらば
 彼の靴下に大きな穴がポカリン
 あわてて隠したけどしっかり見られた
 
 でも爽やかさが とても素敵だわとうけたので
 彼が気をよくして急に
 もしももしも出来ることでしたれば
 この人をお嫁さんにくださいませませ
 
 その後 私 気を失ったから
 よくわからないけど
 目が覚めたらそういう話が すっかり出来上がっていて
 おめでとうって言われてもう一度気を失って
 気がついたら あなたの腕に 雨やどり