ダイエットに成功した(と言うか、泳ぎが上手になりスリムになった)おチビ。
長時間泳げるし、餌のおねだりも上手になったし、立て続けに餌を全部食べれるようになった。
そんなある日、7月19日の夕方、ふとみると初代黒メダカの一匹が水草の中でヨロヨロしている。
最近、色つやが悪くなり、泳ぎ方も少しぎこちなかったので気にしていた一匹だ。
慌てて捕獲し、あまり考えもせずおチビの水槽に放り込んだ。
このままでは夜の間にエビちゃんに食べられてしまう。
一瞬、パニックになる二匹。
でもすぐに二匹とも落ち着いた。
以前に黒チビを入れた時は、おチビが追い回して黒チビが可愛そうなくらい焦っていた。
でも今回は黒メダカの身体が大きいせいか、動きがゆっくりな為か、おチビはすんなりと受け入れた。
黒ちゃんはかなり弱っていて、そう長くはないだろうと思った。
餌を食べる速度もおチビと良い感じだ。
私は黒ちゃんの事が心配だったので、わりと頻繁に水槽の中の様子を伺っていた。
実は黒ちゃんを入れた時から感じていたのだが、おチビはどうやら黒ちゃんが気に入っているらしい。
具合の悪い黒ちゃんは、多くの時間を地面に沈んだまま過ごしているのだが、見るといつも黒ちゃんから少し離れた所におチビがいる。
いつもこんな距離感
手前がおチビで黒ちゃんを見ている
相性が良くて良かった、おチビも友達が出来て良かった・・・
最初はそう思ったけど、日が経つにつれて、どうもおチビは黒ちゃんの事が好きなんじゃないかと思うようになった。
ずっと黒ちゃんの傍にいるおチビを見ながらも、「メダカにそんな恋心があるかしら?」とまだ私は懐疑的だった。
黒ちゃんは日に日に弱っていき、浮き上がって餌を食べるのも一苦労だった。
そんな黒ちゃんに変わって、横からおチビがせっせと餌を食べてしまう。
だけど黒ちゃんに食べさせたいから仕方なくまた追加する。
そうこうするうちに、またおチビはぽっちゃりしてしまった。
「チビちゃん、食べ過ぎだよ。せっかくダイエットに成功したのに」
ところが黒ちゃんが来てから一週間後の事。
何と、おチビが卵を産んだのだ!!
おチビが女子だと言うのは分かっていた。
でも今までも、その後も、おチビが卵を産んだことは一度もない。
もうこの頃には、おチビの行動を見ていると、とにかく黒ちゃんの事が好きで好きでたまらないのがハッキリわかった。
それから三日後に黒ちゃんはお空に帰って行った。
あの状態からすれば11日間もよく頑張ったなと思う。
もしかしたらおチビのせいかもしれない。
黒ちゃんもまんざらでは無さそうだったから。
最後の日は朝から、黒ちゃんは今日が最後だなとすぐに分かるような状態だった。
その日は一日中、もうおチビは必死で黒ちゃんの傍に付きっきりだった。
ちょっと軽く突いてみたり、周りを泳いでみたり、見ていて可哀そうなくらい必死。
そんなおチビが夕方になって黒ちゃんの傍から離れて隅っこにジッとしていた。
「おチビ、どうしたの?ご飯食べる?」
餌を見せても見向きもしないでジッとしている。
おチビまで具合悪くなったんじゃないかと心配した。
その30分後くらいに黒ちゃんはお空に帰って行った。
後から思うに動物の勘で、おチビはもう黒ちゃんがダメなのを感じたのだろう。
同時にラムズが寄ってきて黒ちゃんを齧ろうとしていた。
私が見ても全く分からないけど、動物達は最後の時をちゃんとわかっているかのようだった。
暫くおチビはリシアのお家に籠り、餌にも見向きもしなかった。
心配したけど、暗くなる前にやっとおチビは餌を食べてくれた。
11日間のおチビの切ない恋が終わった。
おチビからしたら、「私と同じように地面に座ってくれて、黒ちゃん素敵♡」ってことだったのかな?
何だかおチビが寂しそうで、仲間がいる水槽に戻す事も考えた。
でもやっぱり泳ぎは上手くないし、黒ちゃんみたいに優しい子はいないからね。
もともと、黒ちゃんは穏やかな優しい子だった。
顔がちょっと笑ってるような口元で特徴がある顔なので、黒ちゃんの子供って何となくわかる。
子供達も、穏やかだけどちょっと体の弱い子が多いから、黒ちゃんの遺伝かもしれない。
最後におチビが傍にいてくれて良かったね。
黒ちゃん、お疲れ様。
おチビは今はもうすっかり元気で、餌のおねだりに必死。
卵は無精卵だったけど・・・母さんになったおチビはちょっと誇らしげに見える