ムカシの夏の夕暮れだと、ヒグラシがカナカナと鳴いて、豆腐屋がラッパを吹いて売りに来た。

 

ヒグラシの前には、ツクツクボウシが鳴いていた。

 

かつて住んでいた港区三田では、そんな風物詩はずっと以前になくなっている。茅ケ崎に越した当初は、ツクツクボウシは鳴いていたし、たまーにヒグラシの鳴くのも聞けた。

 

しかし今年の夏は、ヘンな鳴き方をするツクツクボウシに一度、遭遇しただけ。ミンミンゼミの声も聞いていない。

 

これは実はとてもオソロシイことなんだよね。

 

覚えている限りでは、ツクツクボウシの鳴き方がヘンになって「オーシーツクツク」とちゃんと鳴かなくなったのが始まり。これは化学物質が大気中に広まって、その影響だという。

 

人間はそのままでは存在しない、銅や鉄をつくり出し、それから今に至るまで自然にはない化学物質をたくさんつくり出してきた。

それで便利になったことはたくさんある。しかし、それが自然にどういう影響を与えているかはなおざりにしてきた。

この前、比較的自然豊かなところに住んでいる私の師匠が、いちばんの原因は化学物質の蔓延と、それを含んだ酸性雨などの害だという。自然の花や木もそれで活力をなくしているという。枯れてなくなっていく木も多いそうだ。

 

温暖化がよくないというのは、多くの人が知るようになった。しかし、化学物質の害については、あまり知られていない。もうずいぶん前だが、化学物質の蔓延により男性の精子数が減少しているという記事を読んだこともある。

 

ことさらに環境モンダイを提起する気はないが、身の回りの変化を考えると、かなりオソロシイことになっているのかもしれないと思う。

 

さしあたってモンダイ意識だけはもっておかないとね。ホントに。

 

さてタイトルだが、今の家の近くで妙な一本調子の音が午後に聞こえることがある。なんだろうと思ったら、豆腐屋さんだった。どこか機械的でイヤな音なので、その豆腐屋さんに電話したら「ラッパだとうるさいと言われて…」と聞いた。

ラッパのほうがずっといいのに…