警察署で相手してくれたのは、日本人だと言うんで、友好国だからあまり無碍にしてはいかんと思ったのだろうか。

 

小太りの短い髭の署員に、まあまあ腰かけて、と言われ、どこで何があったと聞かれた。簡潔に事情を話した。ふんふんとオモテ向きは親身に聞いてくれた。

「どんなヤツだった? 」 それも話した。

「そいつは常習犯だ。よーし分かった。必ず捕まえてやる」

 

それで終わり。もちろん、すぐに手配したとしても捕まえられるわけはない。警察署に行っても保険に入っていて盗難証明を出してもらう以外意味なんかない。無駄なことをしているのにやっと気づいた。

 

さらに実はこの警察はイスラエルの警察である。東エルサレムでパレスチナ側であっても、イスラエルが仕切っている。パレスチナ地区での犯罪なんか、自分らに関係ない限り真剣に対応する気なんかない。

 

ホテルへ戻った。「20ドル、絶対返すから貸してくれ」と何度も頼むが「ノー」。そう言われても仕方ない。こうなったらシェルートに文無しで乗らせてもらおう、と思ったが、ホテルと行ったり来たりしている間に、どうやら来たけど行ってしまったらしい。

 

狭い道路に出てみると東洋系? に見えるねーちゃんが、同じくシェルート待ちみたいにしている。話しかけてエライ目に遭ったと言った。すると「あんたがマヌケなだけじゃん」と言われた。くっそー。

 

もうテルアビブ空港へ3時間前に着くのは無理だ(通常、世界の国際線チェックインは二時間前だが、テルアビブはセキュリティチェックが長いため3時間前)。

帰れない? 今日の宿は? 帰国便の予約もしなくてはならない。いつ日本へ帰れる? 

 

ホテルのフロントで座っていて、ひょっと思いついた。

「日本大使館に連絡したらどうか?」

…実は各国各地での日本大使館の対応については、ここまでロクでもないハナシしか聞いていない。(つづく)