いや?・は!・え??
家の連中が全員で腹を抱えて笑っている。
その真ん中に、わたしの銅像が立っている。
口を半分けて、眼を丸くして、握手するように手を前に出して、思考停止したわたしの姿。
その銘板には、
【我らが主『いや?・は!・え??』さま】
と記されている。
その銅像に向かって、『は、はぁ』と土下座する者もいれば、その姿を真似る者たちもいる。
「え、俺が嵌められた???」
「そうで~す。首謀者がわたしで~す。
わたし蔡英文。そして、もう一人のあ・な・た。
ね、ね、上手くいったでしょ。ヒントで~す。
あの場所、どこだったのでしょうか??」
「あ、そうか。あそこ、人界ではなく霊界。
習近平が来れるはずない場所。
俺、死体役とも話したもんな。
習近平、あそこに連れてくるなら、
肉体殺さないと駄目だな。
うかつだった。」
「はぁい。ぼく習近平で~す。」
「あとは、思考停止まで一本道。楽勝。楽勝。
あの、あと、見せてあげよっか」
わたしがいなくなった後の映像が映し出される。
わたしが消えると、彼女が『やったぁ』と大きくこぶしを突き上げる。
そのあとは、大宴会となり、みんなで、わたしが思考停止した様子を真似る。
よし、銅像にしてやれと、銅像をつくる者もいれば、銅像に、『いや?・は!・え??さま』と、銘を入れる者もいる。ふざけて、土下座する者もいれば、銅像を担ぐ者もいる。とにかく全員で大はしゃぎ。「よし、本人連れてこい」と連れてこられたというわけだ。
わたしは彼女に
「ありがとうな」
と言う。
彼女は
「いえいえ、これくらいならお手伝いしますよ」
と答える。
ハルマゲドンの戦いだと意気込んでいたのに、
余りにも簡単に片がついてしまって、家の連中、落ち込んでいたのだ。
勝ったはずなのに、敗軍みたいになっていた。
それにしても、本当に見事に引っかかった。
やられた。
やられた。