ディープステイトの世界戦略

 

 

 ディープステイトの世界戦略の基本は、人、物、金の移動の自由化です。皆さま方は、移動の自由化と言われると、新しいものと感じられるでしょう。しかし、もし、日本が大陸の中の一地域だったらどうでしょうか。大陸の中においては、人、物、金、全てが最初から全て出入り自由なのです。全ての出入りが自由だから、すぐに盗賊や外敵に狙われる。だから、高い壁をつくって、盗賊や外敵から自分たちを守る算段をしなくてはならない。高い壁に囲まれて外部から攻められにくい場所と、壁も何もなく、どこからも簡単に攻める事ができる場所があったとしましょう。あなたは、一体どちらに住みたいですか。

 

 移動の自由化とは、この壁の撤廃を意味します。世界一大きく強い国があります。その国が『お前の国の壁をなくせ、俺の国の壁もなくすから』と言っているのです。その意図は何でしょうか。弱い国を侵略するための作戦以外のなにものでもありません。つまり、ディープステイトの考え方は、内陸国家の考え方なのです。

 

 

 これに対して、海洋国家は、海という障壁があるのが当たり前なのです。試行錯誤しながら、この海という障壁を乗り越える算段をしてきたのが海洋国家なのです。

 例えば、相手の国を侵略しようとします。しかし、もし、相手が本気になって戦闘を挑んできたら、自分の国からは大軍を送ることはできません。つまり、相手が本気になって戦闘を挑んでこない状況をつくっていくしかありません。このための基本戦略は、相手の国の中に自分のシンパをつくっていくという作戦となります。

 

 日本は、このために、教育を施し、インフラを整えて、人々の生活水準を上げるという対策をとるのです。イギリスはかつては、自分のシンパとなる部族をつくり、そこを徹底的に持ち上げて、その部族を使って他の部族を攻めるという対策をとってきました。これにより、世界のほとんどの地域に自国領を広げてきたのです。その領土のほとんどを失った今、日本方式に変換しようとしているのです。

 

 海洋国家であれば、この日本方式は理解できるのですが、大陸国家には理解不能な戦略なのです。ディープステイトは大陸国家論で世界を考え、中国共産党も大陸国家論で世界を考え、日本は海洋国家論で世界を考えているのです。

 

 このため、日本が障壁をなくすと聞くと、相手の国のために何が善いのか、何ができるのかと普通に考えます。相手の国の指導者よりも自分の政策の方が良くないと相手の国の人々が自分のシンパとはなってくれないと考えるからです。これが日本式の侵略方法なのですが、これが侵略と呼べるでしょうか。日本式の侵略ならば、大歓迎となるのではないでしょうか。

 

 日本人は人、物、金の自由化と聞くと、最初にこれを考えます。ディープステイトの意図に対しては、『そんなことすれば相手の国の人々の反発を買うだけじゃないの、それは却下』となり、相手にもしないのです。このため、ディープステイトから見ると完全に意図が外された状態となるのです。ディープステイトには、この考え方が理解できないので、『分けのわからない国』という認識となるのです。