ドイツ人のある神父とわんちゃん | とある働き人の聖書のお話

とある働き人の聖書のお話

東京で牧師をしておりました。
7年前子供が小学生に上がるまで離れていましたがぴったりの時に新しい働き(子ども関係)に招かれ、伝道させていただいています。

「わたしの目にはあなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」

鈴木秀子さんが書かれた「愛と癒やしのコミュニオン」という本があります。人との関わりのあり方、互いに心の結び合いについて考えさせてくれる素晴らしい本です。

 

その中の逸話のひとつに「ドイツ人神父さんと犬」という文章があります。「どうして神父になったのですか」という質問に対する答えとして話されたことです。

 

彼はドイツの田舎に生まれ、家族は教育関係者を輩出している名門。優秀な兄がいて、いつも比較され、あまり出来が良くなかった彼は

「もっとがんばりなさい」

と言われ続けました。

 

小学校5年生の夏休み前の終業式の帰り道、通知表には落第点が…。彼は心が重くなり、家に帰りたくない衝動に駆られます。

 

そこに彼の家に飼われている犬が飛んできて、大喜びしているのを見て彼は家に戻らず野原に行き、そこに座り込むと犬もそばに来て座り少年の顔をじっと見上げ、全神経を少年に集中している。少年は犬を抱きしめながらこうつぶやくのです。

 

「僕はお兄ちゃんみたいに頭が良くないし、勉強ができない。有名な家に生まれて、将来は人の役に立つ人になれと言われているんだ」

犬はひたすら「世の中にこの少年しかいない」という目で見つめている。

 

「本当につらいんだ。先生に叱られて、呼び出しの手紙も渡されて。お兄ちゃんみたいになりたいけれど、なれないんだ。両親はわかってくれない。わかってくれるのはお前だけだよね」

「やってもできないことがどんなに辛いかわかるよね。頑張っても頑張ってもお母さんに叱られてばかり・・・」

犬はじーっと聞いている。

 

少年は胸のうちのありったけを話し続けた。そうしている内に何か胸がすうっとしてきてもやもやが晴れてきた。

 

少年は犬に心の内をすっかり聞いてもらって、気づきます。

「こんなに自分のことをわかってくれるものがいる。勉強ができるとかできないとか関係なく、自分に対してこんなに忠誠と愛情を注ぎ、この世の中で一番大事な存在として扱ってくれる。」

 

そして

「神様は自分をこういうふうに見ていてくださる」

と悟るのです。

 

神父はこう語ります。

「あのとき、自分の犬が全身全霊を傾けて聞いてくれ、苦しんでいる私とともにいてくれました。その犬に自分の気持を全部話してしまうと、不思議と自分は自分であっていいと思えるようになり、気持が楽になったのです。私はいつもは嫌いな自分をも、そのとき、何だかいとおしく受け入れられたのです。そして子供なりに自分は自分であっていいとアイデンティティが確立したような気がします。」

 

いてくれてありがとう。

あなたは神様にとってかけがえのない存在。

神様があなたを見、聴き、導かれる。

いちばん大事な存在故に御子イエス様の命を惜しまず神様はあなたに差し出されるほどに。

神様にとってあなたはいてくれてありがとうな存在、それを忘れないでm(_ _)m