子供の頃、持ち運びのできるスピーカー内蔵の小さなやつ。蓄音機を電気で動くようにしたようなやつ。それをプレイヤーと呼んでいた。そして、それが当時の「ステレオ(オーディオ)」だった。
時代は過ぎ、オーディオが進化し、映画「エレキの若大将」{1965(昭和40)年公開}なんかでは、当時最新鋭オーディオが紹介されていたりした。(高校時代にリバイバルで見たが、写真のオーディオでいうと、アンプ部分の下の引き出しを開くとそこからレコード・プレイヤーが出て来たのでびっくりしたものだ。)
そして、1970年代に入り、写真のオーディオに行きつく。もちろん自分が購入したものではない。親爺が買ったものだ。木製の重厚な作りのオーディオが流行りの時代で、その分高かったのではないかと思う。当時のカタログで15万円位付いていたのではないか。今で言うと40万くらいの価値があったかと思う。 プレイヤー部はオートストップ機能付きで、いちいちアームを上げないですんだので便利だった。このオーディオで親爺は軍歌のレコードなどをよく聞いてゐた。それに影響されて自分も聞くようになったのだと思う。
自分がこのオーディオを聞いたシーンとして覚えて居るのは、上條恒彦のシングル「だれかが風の中で」を、家族が外出している時に結構なボリュームで聴いたことだ。当時木枯し紋二郎のテレビ・シリーズが放映されていて、これはそのテーマソングだった。気に入ってシングル盤を買って貰ったのだと思う。1972年リリースなので、その頃の事だと思う。自分は中学生であった。
この時は音質にさほど不満はなかった。それなりの音で鳴ってゐたし、音量も堪能できるほど大きく聞けたからである。
そしてこの直後、世界のオーディオは爆発的な進化を見せてゆく。