回復して来てから医者に言われたが、そもそも大動脈解離は予兆をみつけにくい病気とのことで、ネットで調べても確かにそういうことらしいが、それでも高血圧がその可能性を高めるということは間違いがない。その上自分には予兆と云える出来事が実はあった。
 6年前の健康診断で、心電図に異常が出て要精密検査の通知が来た。そこで心臓血管専門のH病院へ行き、精密検査を受けた。心臓だけでなく、眼底検査や腹部のエコー検査なども受けた。まる一日検査を受けて、夕方担当医と面談した。担当医は理事長だか大先生とか言われている老人ですごく偉そうだった。「血圧が高いので降圧治療をしましょう。」とのことで2週に1度通院することになった。精密検査の結果を知らせる一覧表は渡されなかったので、次回なのかと思ってその時は帰った。
 通院1回目。予約をして2時間ほど待たされて名前が呼ばれた。周囲の人も数名呼ばれ、受診室の横の席は5~6人で溢れた。暫くして「○○さん」と患者が呼ばれた。引き戸を開けて入って行く。そして5秒で出て来る「△△さん」と呼ばれ、ささっと入ってガラッと出て来る。5秒。そして私が呼ばれた。ささっと入って、「はい、薬で治療を継続しますね。いいですよ。」と言わればばっと退室。5秒。 「何だコレ?」と思ったが投薬を続けなければならないと思い、次回も来なきゃと思った。
 通院2回目。その時は予約をしていたが3時間ほど待たされて名前が呼ばれた。その時も受診室の横の席は人で溢れた。「○○さん」5秒。「△△さん」5秒。「××さん」5秒。そして自分が呼ばれた。「薬で治療を継続しますね。いいですよ。」 「あの。精密検査の結果、きちんと伝えてもらってないんですけど。高血圧以外に問題ないんですか?」と理事長だか大先生だかといふ老人に尋ねた。すると、PCで精密検査の結果らしいページを開き、「動脈硬化の疑いがある。」とだけ答えた。こりゃダメだと思って外に出た。15秒。
 待合で待っていると看護士に呼ばれた。「次回はいつがいいですか?」「いいです。」「え?」「次回はいいです。」「同じ曜日ということですか?」「いえ、もう来ないということです。」「ええっ?」 そして自分は会計を済まし、2週分の薬を受け取って帰路に付いた。
 この後違う病院で治療を続けたら今回こういうことにはならなかったかもと思うが、その時は医者への不信感がピークになっていた。  そして昨年夏の健康診断でまた心電図で異常が出た。またかと思ったが、前回の精密検査では動脈硬化以外に異常はなかったんだよな。と思いつつ。そのままにしていた。そして病気が発症し、倒れた。高血圧に動脈硬化。全長はふたつ出て居た訳だが、不幸な出来事(理事長だか大先生だかというじじい藪医者)の存在があって、きちんとした対応をしていなかった訳である。自分については、前兆はきちんと出て居たということになろう。
                                                [つづく]