倒れて11か月。今覚えて居る内に倒れた時の事を記録しておこうと思う。(もし同じ病気(大動脈解離)をお持ちの方の参考になるやも知れんし。)  
 20181019日午後5時過ぎ。仕事を終えて帰路に付き、地下鉄まで十数分歩く。地下鉄に乗り十数分で大通着。上へ出て大通公園の自転車置き場で自転車に乗り換え、5分走って蕎麦屋に到着。かけそばと天ぷら、玉子焼きがついたほろ酔いセットを注文。サッポロクラシック瓶1本を飲む。340分後に自転車に乗り大通へと戻る。
 地下鉄に乗り替え、10分ほどで降りる。GEOで新作DVD100円キャンペーンをやっているからだ。地下鉄から5分ほど歩いてGEO到着。DVD4本選んで自動受付機で会計を済ませていた。DVDのバーコードをスキャンし、代金を支払い、お釣りがチャリリンと出て来たので、それを受け取ろうと左手を伸ばした時、突然、大きな木槌で胸をが~~ん!!と思い切り殴られたような衝撃が襲い、それから手を伸ばした恰好で動けないまま立ち尽くしていた。
 その間数十秒位か。不審に思った女性店員が「どうしました?」と近づいて来た。「いや、なんか衝撃があって、動けないんです。」「このまま立ってられますか?」「いえ、つらいです。横になります。」と言ってそこの床に横たわり、店員はそれを手助けしてくれた。「救急車を呼びましょうか?」「いえ、ちょっとこのまま居させてください。動けるようになるかも。」「そうですか・・」と言って店員はカウンターの奥に下がった。すると、近くで見て居た60歳前後のおばさんが「どうしたの?苦しい?」と訊いて来た。「はい。いきなり木槌か何かでがーんと殴られたみたいになって、動けなくなりまして。」「そう。」と言っておばさんは1歩下がった。何か納得したような表情をしていた。看護士だったのかな?と思った。
 すると先ほどの女性店員が戻って来た。「どうですか?」「やはり動けません。」「じゃ、救急車呼びますね。」「はい。お願いします。」それで数分で救急車が来ることになった。その間、借りかけのDVDを返却し、受付機の近くにあった財布に会員カードを入れてもらった。周囲には数人の客と店員が居たが、男の店員はただぼ~と見て居るだけで、何もできないようだった。彼の近くにある受付機の釣銭口には数百数十円がまだある筈だったが、あてに出来ない雰囲気だったので何も言わずにいた。45分後に救急車が来て、ストレッチャーに寝かされ、車に乗せられた。
 車中では救急隊員に名前と年を問われ、T病院に向かうがいいか?と問われた。自分は「家が近いからH病院がいい。」と答えた。どちらも十数分の距離にある病院だった。救急車はH病院へ向かった。服を脱がされた。その日は股引を穿いた初日で少し恥ずかしかった。「こんなことになるなら、穿かなきゃよかった」と口に出して言ったと思う。
 その内、胸に痛みが来、それがずんずんと増して来て、「痛い痛い」と叫ばざるを得なくなった。「よしよし、もうすぐ。もうすぐだ。」と救急隊員は励ましてくれていたが、自分の声が絶叫に変わった時「痛み止め打ちま~す」と言って注射を打ち、自分の記憶はここで途切れた。

 これから1年経ち、GEOの女性店員に一言お礼を言いたくて寄ってみた。お店に行けばその店員はわかるかと思った。女性店員は二人いたが、どちらの人も記憶と違う。というか、店員の顔の断片も記憶から蘇らない。眼鏡をかけていたかどうかさえ思い出せない。薄情なものだが、わからないものは仕方がない、そのまま何もせずにお店を後にした。

[今回思い出してみて、自分がかなりラッキーだったと知った。そのことについて以降書いていこうと思う]