10年前位だったか。事務所のトイレで用を足している時、呼び鈴が鳴り、「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ?」という数名分の可愛い声が。
 あっ、今日はハロウィーンだったか!と焦ったが、お菓子は用意してなかったし、何せタイミングが最悪。そのまま息を殺して用を足し続けた。
 可愛い声はそれでも数分粘っていたが、その内諦めて帰って行った。
 ううう、すまぬ。おじさんが悪かった。でも、君たちもタイミング最悪だったんだぞ。お菓子があっても手を洗ってからじゃないと渡せないから時間がかかったろうし。手も洗わないで渡したら自分が自己嫌悪で死にそうになっただろうし。
 お菓子がないまま出たら出たで、現金を渡すという無粋を働かなきゃならなかったし。いずれにしても地獄のハロウィーンであったであろう訳なのです。そして、以降のハロウィーンに子供たちが事務所に立ち寄ることはなくなった・・・・。