高校位の時、近所の施設の初老の警備員さんと懇意になった時があった。彼はどうもその昔は“その筋”の人だったらしく、(当時はまだ元コレ系の人が警備員には多かったのだ)それに近い話をしてくれた。敗戦の時ドス(短刀)も持ってちゃいかんと進駐軍に言われて、近所のケーサツに差し出さなければならなくなった。これじゃいかん、いざと言う時どうするのか?と考えた末に思いついたのが傘。当時は先が金属で、柄は丈夫な木材。骨も金属でなかなか頑丈だから武器に使える。護身用にもなる。しかも傘なら持っていても違和感がない。ということで、その筋の人たちは、傘の先の金属部分を鑢で削って鋭利にしてこれを持ち歩いたそうで、大通近辺やすすきのを夜歩くとそれっぽい人たちが雨が降っても居ないのに傘持ってうろうろしていたと語ってくれた。その人とは5~6回話をしたが、もう半袖の夏の気候になってゐたのに長袖を着て居た。「どうして半袖にしないの?」と訊くと、袖をそうっと撒くって、おそらく龍の一部と思える群青色のもんもんの一部を見せてくれた。それで、「ああ、この人は本当にその筋の人だったんだな。」と思った。
そんなことを思い出した。きっかけは香港のデモ。催涙弾やガス避けのために傘を用いているよね。5年前には雨傘運動ていうのもあったっけ。香港の自由と民主主義を守る戦い。自分は支持してるけど、今日は関係のない話でござった。