昨年秋に交通事故で怪我をした。自動車を運転していた先方の前方不注意。自転車で走って居た自分は跳ね飛ばされたが、幸い重い怪我とはならなかった。とはいうものの肋骨数本骨折と両足の打撲。少なくとも1週間程度は仕事なんかできっこない状態だった。先方は任意保険に入って居たので保険に任せることになった。その保険会社はSジャパンN興亜。事故の翌日の夕方電話がかかって来た。出ると保険会社の担当。言葉は丁寧だが、何も手ごたえがない受け答え。よくあるパターンのたかが知れた事故内容に慣れているのかと思った。そして、先の見える簡単な処理で済ませられることもわかるのだろう。その慇懃無礼な語り口に次第にむかついてきたが、それでも伝えることは伝え、電話を切った。
翌日また電話が来たが、また夕方5時近く。最初は怪我が少しでも回復するまで時間を置こうとして夕方にしてくれているのかと思ったが、相変わらずの緊張感のない口ぶりに、自分の件は後回しにされているやっつけ仕事にしているのだなと思えた。最近の事故対応の担当は当人にはまず逢わないし、警察にも行かない。当然ながら事故現場なんかにも寄ることはまずない。全て電話1本で済ませてしまう。いや、済ませられる。相手の顔を見なくても出来る仕事だから、舐め切った仕事ぶりができるのだ。これは電話口で感じた率直な感想で、今までのいろんな経験から間違いない。そう、舐めて居るのだこいつは。
そうわかってしまった自分だが、それでも自分はまっとうな人間だ。きちんと相手のいう事には答え、伝えることは伝え、疑問点があると質問した。相手もそれに答えてはくれるのだが、打っても響かない感じ。マニュアル通りにやってはいるがもはやココロここにあらずと言った感じ。終業時間近いしね。合コンでもあるのかね。
それからはもう書類のやりとりだけで3週以上が経過。こちらにはとりあえず自転車の物損のことがあるのでその処理だけでも進めておきたいと思って居たが、まったく連絡がなかったので仕方なくこちらからすると、当然だがあの間抜けな声がでた。ほんとうはこんな男と話すらしたくはないが仕方がない。自転車のことを伝えるとこのとき書類を送ると相手は言ったので取りあえずその日は話を切り上げた。
しかし、書類は送ってこない。
で、それからまた3週間。電話をしたら奴が出ず同僚が出た。多忙で掛けなおすとのこと。で、2時間半待ったが掛かってくることなく、さすがに自分も頭に来て苦情の電話を入れ、担当を変えさせた。するとあわてて別の担当から電話が来た。前の奴よりはマシな感じだが、どうせ同じ穴の狢。事務手続きを粛々と進める如く話を進めた。自転車代は1年に1割分評価が下がった金額で払われるとのこと。自分は2年乗ったので2割引きの値段の評価だった。10年乗ってなくてよかった。いや、ひどいものだ。
まあ、一度苦情が入ったのもあって新担当は事務処理はスムーズにやってくれた。3か月を経て保険金が支払われたのだが、その基準がすごかった。
自分は自営をしているが、そんなに稼いでいる人間ではない。しかも通院についても結構我慢して頻繁には通わなかった。すると自分の査定はほとんど基準通りの見舞金と通院代だけのようなものだった。尋ねると自分の場合もきっちり基準に則ったものだという。ひどく驚いた。きちんと歩けるまで1週間。肋骨の骨折は1か月以上かかってやっと痛みが取れた。当然その間仕事には大変支障があったのだが、そういうことはほとんど見ることはないのだ。自分の稼ぎを保証しても大した額にならんだろうに、それでも驚きの査定。われわれ一般ピープルから搾取した分、著名で大口のおエライ人たちにたんまり出すようになっているのだろうことが想像に難くない。これでは事故後に意味もなく通院や入院している被害者が増えるだけだ。実際そういう「ごね得」の人たちは少なからず居るだろう。正直者が馬鹿を見る世界がまさにここにはあった。絶望的な前例主義である。そりゃそうだろう、足で調べないから表面的なことしかわからないのは当然だ。
そしてこうも思った。保険加入者が保険屋に任せていると安心していても、保険屋の対応によっては知らぬうちに恨みを買ってしまって居るということもあるのではないか、と。そしてこの対応はSジャパンN興亜だけに限ったことではない。おそらく横並びに行われて居ることだろう。まあ、全く払われないよりはマシ。という感覚でいるしかないのだろうな、保険なんてものは。そして、場合によっては見苦しい位にしっかりゴネることも必要なのかも知れない。そして今回の教訓。まさかの事故に遭ってしまった場合は、我慢せずにどんどん病院を利用しよう。そこからしか保険金は出ないのだから。これだけが血が通って居ない組織のまっとうでない相手に対する対処法である。