綾辻行人さんの怪奇小説「タマミフル」を読んでいて慄然となった。我が愛するGoblinの音楽にまつわる表現に出くわしたからである。
[以下引用]
 『億劫になったとは云っても、今でもたまには夜中に独り車を走らせることがある。そういう時、カーステレオで流す音楽はたいていGOBLINかDEAMONIAと決まっていて、この夜の海老子邸からの帰り道も、車内ではゴブリンの名盤中の名盤、“PROFONDO ROSSO”がリピート再生されていた。
      ・・・・・(中略)・・・・・
おりしも“DEEP SHADOWS”から“SCHOOL AT NIGHT”に曲が替わってまもなく、という絶妙のタイミングで。
 妙なものと遭遇した、のである。』
 と来たもんだ。ミステリィやホラー小説を書く人だからホラー映画を見るのであろう。そしてその音楽が気になるのであろう。しかし、そのサントラ盤からバンド名を拾い出しそのバンドとしての盤を買って聴くとなると少し合点が違う。しかも綾辻さんの年齢を確認すると、自分とほぼ同世代。プログレ全盛期を齧って来た年代の人に相違ない。もうひとつ上げている「DEAMONIA」も、ゴブリンのキーボード奏者が後年ゴブリンとほぼ同じコンセプトで結成したバンドである。しかも具体的に曲名まで挙げてわざわざ誇示している。そうとうこのテのサウンドが好きなのだろうと推察した訳である。
Goblin - 1975 Profondo rosso - Deep shadows

“PROFONDO ROSSO”は今は邦題「サスペリアPART2 」だが、当初は「紅い深淵」となっていた筈である。1977年ダリオ・アルジェント監督の映画「サスペリア」が日本のみならず世界中で大ヒットしたことから、アルジェントの前作映画を急遽「PART2」として上映したもので、内容も全く別物で関連性は全くない。
Goblin : School At Night (Lullaby , Child Version)

 この童謡めいた曲も、映画を見た者にとっては意味深に響くのである。
 さて、今回このブログを書くにあたってようつべ検索していたら、思いがけず1975年当時のゴブリンの動画を見つける事ができた。演奏しているふりの映像で、特にキーボードのクラウディオ・シモネッティの指さばきはかなり怪しいが、それでも彼らの動く姿を見ることが出来るのはとても嬉しい訳である。
GOBLIN "PROFONDO ROSSO" (DEEP RED) on Italian tv