武者小路実篤作/岸田劉生画 「カチカチ山と花咲爺」大正6年(1917年)刊より

「かちかち山」は、いうまでもなく、室町時代の昔からあると言われている民話だが、それを白樺派の作家武者小路実篤先生が民話にある程度忠実にかつ現代風にアレンジした〝大人の〟童話である。なぜ〝大人の〟と付したのかは、偏に岸田劉生の挿画にある。

 上のページを見ていただけるとお分かりのように、兎に角、子供向けの挿絵ではないことが一目瞭然である。考えてみれば、岸田劉生はあの夢に出てきそうな、麗子像などの童女の絵を書き連ねてきた奇異な画家である。そして、その絵画には見るものを離さない不思議な魅力があるのだ。この挿絵にも同じ魅力があり、それに魅了されたら、もう文章のほうはどうでもよくなってしまうのである。
 
 さて、その麗子像であるが、これが最怖傑作であろう。
 タイトルは「野童女」 (1922年)
 残された日記によると中国の画家“顔輝”が描いたグロテスクな笑いの絵画が下敷きになっているらしい。

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