なでしこの佐々木則夫監督が
「佐々木監督がなでしこ入りの際、夫人からクギを刺されたのが、「鼻毛に気をつけて」だった。W杯開幕前の夕刊フジインタビューでも、「妻の上司は仕事ができたのに、いつも鼻毛が出ていたため、女性社員からの信頼と尊敬が減ったそうです。女性は男性以上に細かいことに気づき、細かい情報をことの本質以上に気にすることもあると、妻から学びました」と明かしているそうだ。
 信頼と尊敬と説得力と、ともすれば人格まで脅かすかも知れない鼻毛のはみ毛、恐ろしいことだが、事実である。しかも男女の仲に限ったことではない。実際、ある偉そうなことをノタマッテイた博識の知人の鼻の穴から比較的多目に鼻毛がはみ出ていることを指摘して、彼の言質を崩壊させてしまったのは、他ならぬ私である。
 で、この佐々木監督の影響で、鼻毛バリカンがバカ売れしているらしい。実は自分は、コレをもう十数年は愛用している。最近切れ味が悪くなって来たので、買い換えようとしたら、売り切れだったので、この事実を知った訳である。
 思へば、ポール・ウェラーの鼻毛事件からはや19年。遂に鼻毛は男性の人格評価へも大なる影響を与える存在となってしまった乎。
 いや、しかし待て。男性にここまで影響を与える鼻毛。女性だったら死活問題ではないのか?
 もし人気女優が、今のハイビジョン映像で鼻毛をアップでクリーンに映し出されてしまったとしたら、彼女の女優生命の危機であることは疑いようがない。女優ではなくとも、一般女性でも同じである。しかもこれは、美しかったり、よい人だったり、仕事の出来るキャリアウーマンだったりすればするほど、ダメージは大であろう。
いや、考えてみると、女性のほうが大変である。彼女達には鼻毛のほかに腋毛及び脛毛対策があるではないか。こちらの方もおろそかにしていたら、より大変なこととならう。
$旧聞逍遙 思い返すに、自分も昔、彼女と一戦交えようとした時に、生えつつあったちょろっと腋毛が目に付き、急速に萎えてしまったことがある。問い質すに、夏場は小まめに手入れするが、冬場は見えないのでおろそかになっていたとのこと。
 まあ、わからぬではないが、こんなことで千円の恋、もとい、千年の恋も一瞬にして消え去ることもあるのである。(ちなみに、今の自分はこんな狭量ではない。いつもよろこんで引き受けることが出来る。)
 かつてAV女優の黒木香がふさふさの腋毛を披露して人気者になったが、見事にわれわれの常識を逆手に取った戦法であった。
 そもそも、欧米では、腋毛を剃らない人は2~3割居るという。ヨーロッパを旅していた友人が「向こうの女性は腋毛を剃らない人が多くて参ったよ」と報告して来たのを思い出す。
 以前ここでも書いたことだが、ジュリエット・ビノシュニナ・ハーゲンなどもその剛毛を披露している。
 かつてエロ漫画界で一世を風靡した原律子センセが「下の毛を剃って腋毛を生やす」ことを提唱したことがあったが、慧眼である。非日常的インモラルなファクターとして、倦怠期を迎えつつあるカップルなどには大変喜ばれそうだ。興味のある女性は、ぜひ実践して頂きたい。
 そういえば、最近の欧米では、下の毛は全部剃るか、小さく纏めて手入れするのが常識のようである。さては、原律子センセが提唱した状態に既になっているのかも知れぬ。
 しかしながら、この手が効力を発揮するとしても、一本の鼻毛が全てを台無しにするのは、間違いあるまい。