水虫の話

1年前まで水虫だった。
4男前の夏、ひどい水虫の男と約1ヶ月旅を共にし、それから水虫になった。
小さな虫に刺されたような点が数箇所、右足の指先にでき、その周りが薄く皮がむけてきていた。
別にかゆくはないが、明らかに異変だ。
オロナインなどを塗ってはみたが、症状は変わらず、七日目くらいに仕方なく病院へ行った。
待合室で看護師から「女性の医師でもいいですか？」と訊かれた。構わないというと、すぐ別室に案内された。
　もしかしたら、患部を女性に見せるのを嫌がる男がいるのだな、と思った。
30歳前後の女の医師だった。左足首に銀のアンクレットをしていて、それがちゃらちゃら見えてエロティックだった。その女が指で直接患部に触れてきたのには驚いた。そして、またちょっといやらしい気分になった。
　皮膚の一部をとって水虫菌がいるかどうか検査をする。結果は翌日出るのでまた来いという。
　とりあえずの軟膏をもらって帰宅。また翌日受診に出掛けた。その日は最初から女医を指名。いやらしいのではない。昨日で担当医になったのだ。
自分は最初に左足首を見た。またアンクレットがちゃらちゃらしている。今度はちょっとサディスティックな気分になった。
　「なんだ、あんたは、男の患者の前でアンクレットちゃらつかせて粋がってんのか？」
　とか言って、イチャモンつけてイヂメたくなったが、、もちろんそんなことしやしない。
「やっぱり水虫でしたね～。菌がうじゃうじゃ居ました」
　とのこと。水虫薬をもらい、また1ヵ月後に来いという。
　自分は水虫の患部に直接指で触れた女医に敬意を表しつつ、訊いた。
「一月ほど、水虫男と行動を共にしたので移ったのでしょうか？」
　しかし、答えは違うのではないかという。水虫菌はどこにでもいる菌なので、条件さえ合えば、誰にでもなるものだという。
　（それでも自分は今でも彼奴-きゃつ-のせいだと思っている）
　一月の間に水虫は小さくなり、皮膚もつるつるに戻ったので、病院へ行くのをやめた。結果、これが悪かった。それから数ヵ月後、新たな水虫を右足に発見することとなる。
　これからが長かった。ろうそく療法や直射日光療法、消毒系石鹸をも試してみたが、完治までには至らなかった。
　水虫菌は非常にしつこい性格で、毎日24時間以内に洗い続けていても、目の届きにくいところ、指の届きにくいところで生き続けているもののようで、治ったと思っていた時、手のとどきにくい指の裏側などで水虫の証拠を発見してしまうということが、繰り返された。
　またアンクレット女医にかかる手もあったが、来いといわれていたのに行かなかった落ち度もあり、足が向かなかった。仕方なく向ったのは薬局。強力といわれる水虫薬を辛抱強く続けて、ようやく1年前に完治した。思えば、見栄を張ることなく素直に病院へ行っておけば、薬代は1/3程度で済んだものを。しかもエロティックな女医に会えたものを。と、後悔先に立たず。
　
　水虫は民間療法ではほとんどが完治しないそうだ。あきらめて病院へ行くのが完治の早道であると、自信を持って今は言える。運がよければ、エロティックな女医に会うこともできるかもしれない。
　
　夏場でもブーツを履いている女子を目にする。間違いなく水虫菌は繁殖しやすい環境を自ら作り出している。小さく皮がむけていたら、小さな赤い点ができていたら、そこが指の股でなくても水虫の可能性が高い。早く病院へ行き給へ。そうしないと、たちの悪いストーカーに負けぬ位にしつこいぞ。

【アウトレットバーゲン】【定形外郵便で送料無料！】ホルサ水虫薬【第2類医薬品】（70％OFF）...