$旧聞逍遙-カルメン 宇宙の血と砂被災された皆様方への思いをいつも胸の中に広げつつ、いつもの与太話を始めやう。みなさんの分も日常への回帰でアリマス。

 1973年、スペインに「Carmen カルメン」というバンドがデビューした。そのファースト・アルバム“Fandangos in Space”(邦題:宇宙の血と砂)はとにかくスペインらしく過剰にエモーショナルな想像通りのフラメンコ・ロックなのであります。それゆえかB級扱いを受けてましたが、みなさま、プロデューサーはデヴィッド・ボウイやT-Rexで知られた超A級のトニー・ヴィスコンティ様でおわすよ、さあ、お立会い。
 ということで、自分もリリース当初には手が伸びず、数年後のカットアウト盤で安くゲットしたのです。そして、針を落として脳みそを落としそうになりまひた。
 傑作なのです。プログレなのです。うなるフラメンコ・ギター。走り舞うフット・パーカッション。荒れ狂うリズム隊。群れ飛ぶカスタネットの響き。う~ん、これぞ迸る情熱の西班牙、なのです。

 このバンド、おそらくリーダーはギターのデヴィッド・アレンでありましょうが(Gongとは別人どすえ。私も当初はオドロキマシタが。)、このバンドのキーパーソンはロベルト・アマラル。クレジットには[Castanets, Foot Percussion, Percussion, Vibraphone, Vocals]とあります。『Foot Percussion』とは何ぞや?どたどたと床を踏む音、アレでありましょうな。1曲目“Bulerias”の間奏部でも早速やっております、ズンダダダダダダと床踏みしめて。アンジェラ・アレン(おそらくデヴィッドの奥さん)との激しい掛け合いダンスが見えるようです。飛び散る汗も感じそうです。加齢臭が漂うもお構いなしです。

ようつべにありましたよ!↓
Carmen Flamenco/Prog [Youtube]
このライヴ形式でのスタジオ収録はほとんどカラオケだが、それでも、彼らの情熱は留まることを知らない。ロベルトとアンジェラのダンスには場内も思わず拍手喝采だ!


 さて、自分の周囲にもこのアルバムを持っていた者が3人居たが、全てカットアウト盤であった。やはりみんなB級を恐れ、まともな価格では入手しなかったのだ。しかし、このカット盤。後に国内盤と聞き比べて見たが、ダイナミックレンジが広く、高音がよく伸びる好盤であった。そのため、まともなCDリリースがなかった10年前、盤起こしからマック駆使して私家版CDを作成したが、国内紙ジャケット盤がリリースされた現在でも、こちらの方の音が良いと自分は思って聞いてゐる。

 そんなことから、ヨーロッパへ行くなら、スペイン。闘牛とフラメンコだ。そして、できればロベルト・アマラルに逢ひたひ!と思い、20年前に旅立ったが、時期は10月。闘牛は終わっていた。だからツアーも安かったのか・・・・。それでもフラメンコはあるわい。ということで、グラナダ地方のタブラオで、冷えたカバをガバガバ飲りながら見たフラメンコは、伝統芸能というより、前衛芸術でした。エネルギーに満ち溢れていました。感動した!なんだこれは!!
  それからもっとカルメン熱にうなされ、ろくにスペイン語も話せぬ癖に、スペイン人と目があったら「ロベルト・アマラル・ポール・ファボール」とかわけわからんこと話しかけまくって、変な日本人と思われたことでせうね。そんな調子だから、ロベルト・アマラルの消息も聞けずじまいでしたが・・・・

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