$旧聞逍遙 迂闊でありました。原作が鬼才作家:筒井康隆。音楽が鬼才ミュージシャン:平沢進。監督が鬼才映像作家:今敏。で、昨年夏までパッケージの表を見掛けても何も気づかず、映像を見ても居なかったのです。見るきっかけとなったモノは、残念ながら今監督死去のニュースに触れてから。しかもDVD鑑賞したのは、BSで放映する一週間前。すべてがずれている感じなのです。
 思えば1年以上前、艶美どののブログでも紹介していた[今は記事削除されているのかな。] 『パプリカ』。・・・・・見てなかったんだよなぁ。

 と、ここまで書いておいて、
 みなさま、あけましておめでとうございます。
 実は昨年末は大変でした。11月に入った頃から持病が発症。かといって仕事を休むわけにもゆかず、でも、無理して体使うから病気はよくならず、少しよくなったなぁと思って無理をすると、また激しい症状に襲われるといったことの繰り返しで、そのうえ、病気の副産物ともいえる肋軟骨をも痛めて体を自由に動かすことも間々ならないという、クリスマスまでサロンパスの臭いも漂う大変見苦しい日々を過しておりました。
 しかし、奇跡的にクリスマスで回復したのは、きっと神のご加護・・・・ではなく、栄養ドリンクと錠剤のおかげでした。当然病気の薬は日常的に服用しておりましたが、それだけでは回復しないので、思い切って栄養ドリンクと錠剤を毎日服用しはじめたら、ちょっと胃は荒らしてしまいましたが、症状が緩和されてきたのです。で、正月は何とかごく軽い症状で迎えることができるようになった訳なのです。いやあめでたしめでたし。

 それはともかく、閑話休題。
 原作の『パプリカ』はもう15年くらい前に読了しておりました。でも、内容はほとんど覚えておりません。健忘症ですか・・。いや、決してオモロクナイ小説ではありませんでしたよ。といっても説得力はありませんが。ワタクシメ、オモロクナイ小説は途中で読むのをやめる習性がゴザイマスので。本棚から取り出してパラパラ捲って見ましたら、思い出しましたよ浮かびましたよストーリィがメッセージが。それも筒井センセの作品ですから、悪かろう筈がアリヤセンやないですか。
 
$旧聞逍遙 それでも今回『パプリカ』を見ようと思う強い動機付けとなったのは、パッケージ裏に表記された「平沢進」の存在ナノデス。そう、P-Modelのリーダーです。このP-Model。90年代以降はソロアルバムを含めてコンピューターによるハイパーテクノ化が強化され、大好きなギタリストとしての平沢氏が奥に引っ込んでしまっているのが残念な今日この頃。ワタクシメが最高傑作と押すアルバム『カルカドル Karkador』とは隔世の感があるサウンド傾向ですが、さて、最近の、ことには映画音楽における平沢イズムは如何になっておるか、非常に心配というか、興味があった訳です。

 そして、結果としては、大正解です。アニメと完全にマッチしたサウンドで安心シマシタ。正直云って、平沢氏ソロアルバム追っかけもここ10年程度停滞していたのも、実はハイパーテクノ化された平沢節に従いて行けない自分がおったからな訳です。
 しかし、さすが天下の平沢進。ソロ第一作で、ワタクシメにはソロで最高と思っている「ハルディンホテル」の世界を踏襲したようなサウンドでほっとした訳です。ことに、あの、おもちゃやら人形やら自販機やら仏像やら赤電話やらが街道を都々逸繰って歩き続ける時のあのドンガラガッシャン・チャンチキカオスなサウンドはまさにスクリーンにぴったりマッチしていて驚きマシタ。平沢サン、すみません、ありがとう、傑作です。

$旧聞逍遙 さて、それではアニメの中身はというと、 よかったです。これぞアニメでしか描き出せない世界でせう。瞬時に歪み・飛び越え・変化する夢の世界を映像化するには、アニメでしか不可能でしょう。それをしかも丁寧に描き込んで居る。以前アニメ同様の印象が残る「海帰線」というコミック作品を読んだことがありました。今ナントカって人だったなと思って調べて見たら、今敏さんの作品でした。
今敏氏。惜しい人をこの世界は失いました。多作な方ではなかったのでなおさら、パプリカの存在感がいや増す思いがします。

 ここで、ワタクシメとしましては、この情報を欠く訳にはいきますまい。そう、ちょっとエッチな情報でございます。
 コホン、近年に於きましては、アニメと謂えど、視聴者の対象に子供をも含む場合、裸体や性描写については非常に強い自主規制が働くやうになり、チクビのない女性、当然見えるであらう角度でも見えぬパンツといった、写実とは異なるアニメ世界が蔓延しつつある大政翼賛会的傾向となっておりますが、この『パプリカ』、チクビ、パンツもしっかり描かれておる、非常に健全かつ正確な作品であります。性器こそ描かれてはおりませんが、あのSCENE、性器が描かれていてはかえって意識がソコに集中してしまい、物語としては台無しになってしまう可能性もあったでありませう。
 (ギュスターヴ・クールベが描く以前の西洋美術界も、同様の理由で[特に女性のアソコを]描かなかったりしたそうな。)いや、あれで良いのです。NHKが放映しておる訳でありますから、ワタクシメが申す迄もなくこれぞ“健全”の証明でありましょう。

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