$旧聞逍遙-ミスト・ポスター1 先ごろ、「最近の面白いホラー映画ありませんか?」の問に応えてくださったアメブロのお仲間:H・Kさんの推薦で、フランク・ダラボン監督とスティーヴン・キング原作の『ミスト』を見ました。
キャッチコピーに「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」とありましたが、またいつものオーヴァーな煽りかい、と醒めた目で居りました。
 そもそも、こと最近のワタクシメは、ハリウッド映画の大作主義を猜疑的に見る傾向があり、特にコンピュータ・グラフィックを多用する作品はすでに新鮮味に欠け、面白みにも欠ける。
こう思うようになって居りました。
旧聞逍遙-ミスト・ポスター2
 この『ミスト』も当初は他のハリウッド大作映画と同様に感じ、「詰まらぬ。 ・・・・かもなぁ。」
と弱々しくココロの内で呟いても居りました。“怪物”が姿を現した時には「そら来た!コン・グラ技術!」「どう上手く描いた積もりでも安っぽくみえちゃうんだよなぁ。」
などと蔑んで見ても居りました。
 欧米人はそもそも、モンスターや血・内臓が飛び出て来ないと怖がらないように出来ているらしい。でもソレはグロテスクな物ヘの気持ち悪さと、びっくりドッキリの類であって、真の恐怖ではない。
(『地獄の黙示録』公開時、某誌にてフランシス・フォード・コッポラと村上龍の対談があり、その中で村上が「“恐怖”を“恐怖だ”と直接言ってしまったら、それはもう“恐怖”じゃない。」といったようなことを言っていたが、コレに非常に近い気分であリマス。)
真の恐怖は、たとえ姿が見えないモノにもある。いや、姿の見えないモノの中にこそ、あるのではないか。そう思えている今日この頃であるからデス。

 しかし『ミスト』の世界にワタクシメは徐々に幽閉されてしまったのです。それは、密閉された空間内での疑心暗鬼。パニック。利己主義の暴発。偽預言者の登場。など、“目に見えないナニモノカ”によって揺り動かされてしまう人間達の姿に映画は徐々に盛り上がりを見せたからなのデアリマス。
 そして、例の「震撼のラスト15分」。


 ココロ揺さぶられました。解説によると、これは原作のラストとは全く違うそうです。
 ワタクシメには
 「此処での一番の悲劇とは何か?」
 ということを考えに考えて、最高の悲劇を描き挙げた。ということができましょう。

旧聞逍遙-The Serpent's Egg そしてこの“最高の悲劇”を鬱々と盛り上げたBGMこそ、自分が敬愛し続けていたバンド:Dead Can Dance の「The Host Of Seraphim」であったのでありますから、尚更でしょう。
 Dead Can Danceは自身にとってはロック音楽の暗黒時代といえた80年代後半から90年代前半を呪術的麻薬的に盛り上げてくれた数少ないバンドでありました。
 当初はパンクを基としたゴシック的無国籍音楽を標榜していたようですが、其の後、いろいろな試行錯誤を繰り返し、'88年「The Host Of Seraphim」を収録したアルバム『The Serpent's Egg』を発表し、自分達の唯一無比な音楽世界を確立。そこにはかつての宗教音楽の復興であり、それらが内包していた精神世界の再構築であったのだと思います。[モノローグ":このCDを入手後、アナログ英原盤を安価で手放し、激しく後悔"]
$旧聞逍遙-Aion '90年リリースの次作『Aion』は『The Serpent's Egg』の世界をさらに高めた彼らの最高傑作。ぜひ一聴をお薦めしたい。

 最後にこの映画『ミスト』。もしかしたら、「濃い霧は、人間には強すぎる精霊である。」という南米に伝わる伝説が元になっているのではないか、と思いました。(関係なかったらゴメンナサイ)

追伸:「The Mist's True Horror Exists Only In Bernie Wrightson's Mind」というサイトには、ミストに登場する化け物昆虫群たちのイラストが掲載されています。


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$旧聞逍遙-Garden Of The Arcane Delights
[初めて聞いた時、凄い衝撃を受けた。リサ・ジェラルドの歌声はまだ構築中という感じだが、個性はすでに確立している。DCD 唯一の12インチ・シングル。今はCDボーナストラックで気軽に聴けますケドネ。]


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