北國に『レトロスペース』という私設博物館がある。時代に取り残され、打ち捨てられているような品物を愛情込めてコレクションしたものが、所狭しと陳列されている場所である。館長S氏が拾ってきたり、もらい受けたり、古物屋で購入したものがほとんどというその品々も混沌としていて、これぞわしが言うところの“ロック”である。特にエログッズが目を引く。特殊な下着や水着、りかちゃん人形を亀甲縛りしたモノなど、S氏の趣味に快哉を叫ぶのみ。7年前くらいから懇意にさせていただ
いていたが、いつもカメラを持参しないので写真は全くなかったが、今は携帯電話を持参しているので、デジカメ機能を利用することが出来た。室内でストロボ機能のない携帯での撮影は難儀であったが、何とかまあまあな写真が撮れた。エロス編については後日改めて掲載させて頂くとして、今日はわしの目を惹いた元禄美人を紹介したひ。抜けるような白い肌に、剃刀ですっと削いだような切れ長の眼。典型的な日本美人である。髪を梳くその姿もまた艶めかしい。一部汚れが見て取れるがその短所を補って余りある美しさだ。背景の鏡や丸窓も風流。きっとどこぞの名家の床の間を飾っていた名品に違いなひ。
しばらく眺めていると、漂う気品と少し意地悪そうなこの表情、どこかで見たかと思い巡らす内、S氏の右腕:Nさんから優しくサジェスチョンがあった。詰まりは、花輪和一さんの漫画に思い至った訳である。そう、この表情は花輪さんの描く時代絵巻ものに登場する女性によく似ているのだ。う~ん、納得。[写真は短編集『朱雀門』から「茸の精」より]
山岸凉子の初期作品集 『ひまわり咲いた』を久しぶりに手にして悶絶した。眼は星のように輝き、男女とも足はすらっと長細い。ストーリーはケンゼンな男女が、素直に悩み恋し嫉妬するという典型的少女漫画パターン。山岸センセの今の画風とは程遠い。このシンセンな驚きは、きっと購入してから一度も読んでなかったからに違いない。本来の私はこの少女漫画然とした絵柄と流れが苦手なのだ。山岸センセといえども、下積み、デビュー時代があるのだということを再認識させられた訳でもある。
で、改めて読み通してみてどうだったか? …ツラカッタです。1ページ読むのが、プルーストの『失われた時を求めて』を読み続けると同じ位に。そして、そのブットビ・ストーリーに驚愕。
ブルジョワ家庭に家政婦としてやってきた精神薄弱児施設の娘カンナ。いろいろ失敗をしながら、その純粋さになんとなく惹かれる浩二のココロ。それを気に入らない妹と恋敵同級生のイジメにも負けず健気に生きるカンナにひまわりのような明るさを見出した浩二は、カンナへの自分の思いを悟るのだが・・・・
という少女漫画ド真ん中、イチローならセンターオーバー3ベースといった内容なのデス。圧巻なのが画像に紹介したページ。ひとり真っ黒に苦悩しオーヴァー・アクションする浩二。びっくりするほどお凉さんぽくないのデアル。
「白痴なゆえに純粋で・・・・ 正常なゆえにみにくいのなら ぼくは ぼくは 白痴をとる!」
のものすごいせりふに絶句。


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