

抜けるような白い肌に、剃刀ですっと削いだような切れ長の眼。典型的な日本美人である。髪を梳くその姿もまた艶めかしい。一部汚れが見て取れるがその短所を補って余りある美しさだ。背景の鏡や丸窓も風流。きっとどこぞの名家の床の間を飾っていた名品に違いなひ。

そう、この表情は花輪さんの描く時代絵巻ものに登場する女性によく似ているのだ。う~ん、納得。[写真は短編集『朱雀門』から「茸の精」より]
山岸凉子の初期作品集 『ひまわり咲いた』を久しぶりに手にして悶絶した。眼は星のように輝き、男女とも足はすらっと長細い。ストーリーはケンゼンな男女が、素直に悩み恋し嫉妬するという典型的少女漫画パターン。山岸センセの今の画風とは程遠い。このシンセンな驚きは、きっと購入してから一度も読んでなかったからに違いない。本来の私はこの少女漫画然とした絵柄と流れが苦手なのだ。山岸センセといえども、下積み、デビュー時代があるのだということを再認識させられた訳でもある。

そして、そのブットビ・ストーリーに驚愕。
ブルジョワ家庭に家政婦としてやってきた精神薄弱児施設の娘カンナ。いろいろ失敗をしながら、その純粋さになんとなく惹かれる浩二のココロ。それを気に入らない妹と恋敵同級生のイジメにも負けず健気に生きるカンナにひまわりのような明るさを見出した浩二は、カンナへの自分の思いを悟るのだが・・・・
という少女漫画ド真ん中、イチローならセンターオーバー3ベースといった内容なのデス。圧巻なのが画像に紹介したページ。ひとり真っ黒に苦悩しオーヴァー・アクションする浩二。びっくりするほどお凉さんぽくないのデアル。
「白痴なゆえに純粋で・・・・ 正常なゆえにみにくいのなら ぼくは ぼくは 白痴をとる!」
のものすごいせりふに絶句。


朱雀門/花輪 和一

¥1,365
Amazon.co.jp
刑務所の前 (第1集) (Big comics special)/花輪 和一

¥1,000
Amazon.co.jp
護法童子/花輪 和一

¥1,575
Amazon.co.jp
花輪和一初期作品集/花輪 和一

¥1,365
Amazon.co.jp
シュリンクス・パーン―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)/山岸 凉子

¥650
Amazon.co.jp
天人唐草―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)/山岸 凉子

¥650
Amazon.co.jp
日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)/山岸 凉子

¥590
Amazon.co.jp
牧神の午後 (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)/山岸 凉子

¥620
Amazon.co.jp
失われた時を求めて 全10巻セット/マルセル プルースト

¥12,915
Amazon.co.jp