18歳未満の子どものヌードが写った写真や本を所持しているだけで逮捕もありうる悪法がまかり通ろうとしている。これを受けて宮沢りえ(当時17歳)の「サンタフェ」が急遽高値取引されているようだ。この動きは、またナサケナイとは思うけれど、問題は性事家さんたちの狭隘な見識と見栄によるけしからぬ法案が成立しそうな様相だということ。いろんな政策で対立する性事家さんたちも、コトがポルノになると一致団結してしまう。ポルノを擁護することが彼らにとってなんらメリットがない為(むしろ“ポルノ議員”などとレッテルが貼られるのを恐れている嫌いもある)と、自身の性癖や見識が露呈されるのを恐れ、児童ポルノの規制を盲目的に推進してしまう危うさがそこにはある。反対が少ないから簡単だしね!
 前大戦直前にナチスドイツが犯した焚書、いや2千2百年前 の始皇帝の愚行を、21世紀の日本で行おうというのだろうか。

 以前から語っているように、そもそも、“児童ポルノ”の定義はきちんとなされているか?
 否、である。つまりはアート作品であろうが、その辺の変態オヤジが撮影した低俗ポルノも一緒くたで取り締まろうという状況だ。下手をするとバルテュスの絵画ですら見られないことになりそうだ。このままで規制に向かっていいというのか?定義、基準もきちんとせぬまま行くと、“児童ポルノ”の拡大解釈も野放し状態となろう。

 欧米や先進国では、児童ポルノ規制が進んでおり、日本はその分野に於いても追付こうという感覚から、コトを拙速に進めようという考えなのだろうが、その前に確認しなければならないことがある。欧米の先進性に学び、並ぶということであれば、それでは、“児童ポルノ”以外についてはどうなのか?欧米並にみなっているか?
 否、である。十数年前、ヘア解禁になってからというもの、なんら先に進んではいない。いやむしろ、モザイクが小さいと言っては逮捕され、最近では着衣のものでも“雰囲気”によっては取り調べを受けるという状況である。ガスが抜ける隙がない。
 つまりはポルノに関することはすべからく規制に動いているのだ。まるで軍国主義日本に戻っているようだ。自分たちの失政を、めくらましするやり方と同じだ。
 このまま行くとどうなるか、想像力のない性事家さんたちやその配下さんたちには、考えも及ばないらしい。地下に潜った凶悪な犯罪者を作り上げて、検挙して手柄を立てたい人たちなのだろうか。特別高等警察復活か?

 “児童ポルノ”規制に私が反対しているわけではない。子供たちを性的な暴力や搾取から守ることは重要だ。きちんとやってほしい。ただ、直線的な正義感や義務感しか有していない主婦議員や偽善議員だけで進めて欲しくないのだ。市民の代表たる人達ばかりでなく、われわれシモジモの感覚や見識をも広く受け入れ、反映させて欲しいのだ。

 特に単純所持だけで逮捕できるという状況は、非常に危険である。まったく健全とはいえない。書店やら収集家やら、資料館、博物館など、ガサ入れしたら、ほぼ100%出てくるだろう。つまりは官憲が目を付けた会社や人物は、確実に逮捕できるという状況となる。気に入らない人物がいると“児童ポルノ”のガサ入れでとりあえず別件逮捕、なんてことが横行しないと、誰が言えよう。

 そもそも性に関することがらは罪のないものである、おおらかなものである。人間が生きていく上で必要な営みである。どんなに異質と見えるものであれ、そこに明らかな犯罪性がなければ、一過性の偏狭な思想やイデオロギーにとらわれて、自然な営みでを規制すべきものではないと自分は思っている。ここで言う犯罪性とは、暴力や搾取のことである。

 ところで表向きで頑固な規制が敷かれると、喜ぶのは地下組織である。暴力団やマフィアの方々が大きな資金源になると、大喜びしているのではないだろうか?

 先ほどちょっと“ガス抜き”と書いた。“児童ポルノ”規制強化をするなら、それでは大人のポルノは解禁すべきである。これが正しい“ガス抜き”である。こちらも欧米並みにすべきだし、それが世の摂理である。そうすれば、(これも以前から書いてきたことだが)モザイク入りで笑われてきた日本の商品が、大きな外貨獲得の手段ともなる。質の高いモデルと機材・撮影技術を誇る日本のポルノ、世界で売れない訳がない。日本の商品なのに、欧米に資金が流れるという現代のジレンマも解消される。厳しい規制を守って運営して来た日本のAV業界に朗報となろうし、“児童ポルノ”規制をますます遵守しようという動きにもなろうというものだ。

 近所の小学校が危険マップというのを作成している。至る所で怪しい人物が出没している。本当にみな、怪しい人物なのだろうか?私の友人が小学校のグランドで遊んでいる児童を敷地外から眺めていたら、警察を呼ばれ、事情を聴かれたそうだ。近所に住む気のよいおっちゃんが、児童に朝の挨拶をしていたら、学校で怪しいおじさんがいたと話題になったらしい。この状況は何だろう?何人も、自分の子供以外に接してはならぬ。ということだろうか?ただ何気なく子どもたちの遊ぶ姿を眺めているだけのことをも憚られる昨今。この異常事態を、さらに進行させてしまうのではないのか?
 当然ながら、子供に接しようとする大人がすべてオオカミという訳ではないのだ。もう一度言うが、今現在ですら、異常事態なのだ。そのことについても、よく考えていくべきなのだ。