前回はブログジャックされてしまった。誰がやったかはわかっているし、抗議することも削除することもできるけれど、わしは之をしない。だって、面白いではないか。むしろ、また書いてね、と云いたい位である。
 ということで、IDもパスワードも変えないので、また、よろしく、なのだ。


 一昨年の暮れに40型テレビを買ってから、就寝前の映画(DVD)鑑賞が楽しみになって、1月中旬まではほぼ毎日深夜まで観ていた。1月で止めたのは、体力を使う厳寒期、睡眠不足で仕事を続けるのが辛くなったからだ。
 そんなことで、この2ヶ月あまりはペースをゆるめているが、それでももう結構観てきているので、印象に残った物を何本か、連続で紹介してみようと思った次第。

旧聞逍遙-セリーヌとジュリーは舟でゆく まずは、『美しき諍い女』『嵐が丘』で知られるジャック・リヴェット[Jacques Rivette]監督作『セリーヌとジュリーは舟でゆく CELINE ET JULIE VONT EN BATEAU』1974年の作品だ。
 もちろんカラー作品だが、雰囲気はバスター・キートン主演のドタバタ喜劇を観ている気分である。主演は若い女の子二人(ジュリエット・ベルトとドミニク・ラブリエ)。魔術かぶれのジュリーが前を忙しげに走り抜けたセリーヌの落とし物を拾って、それを返してあげようと追いかけるのだがなかなか追いつけず・・・というありがちなドタバタ・コメディ風なのだが、二人が走り回っている内に、場当たり的な展開に入り込んでゆく。……のだが、この即興が案外悪くない。というか、主演の二人の演技に嫌みがないのでついつい見入ってしまうのである。(そうでなければ、とっくに眠ってしまっていただらう。)
 十分魅力的かつ可愛らしい二人で、シャワーシーンもあるのだが、こちとら、息子はぴくりともしない。ナゼカ色気を感じさせないのもリヴェットの演出の賜か?と勘ぐってしまう。
旧聞逍遙-バルベ・シュローデルと屋敷の人々そして… 色気といえば、劇中劇というか、異世界というか、郊外の屋敷で繰り広げられる異次元の物語の女優達の方が逆に、セクシーで艶めかしい。こちらの世界では(どうも何十年も前にあった出来事のようなのだが)少女を毒殺するというシリアスでおどろおどろしい匂いがするものなのだけれど、ここにも二人が独自の“魔術”を駆使して入り込んでは、悲劇の顛末を変えようと試みる。

 この映画には、以前紹介した映画『モア』『雲の影』の監督バルベ・シュローデルが出演している。実はワタクシ、何故かバルベ・シュローデルは女流監督とばかり思っておりました。いやあ、お恥ずかしい話です。

 哲学者ジル・ドゥルーズが、コミック映画の最高傑作と語ったそうだ。正直、そこまでか?とは思うけれど、192分という長尺を忘れさせてくれる作品ということは間違いがない。ジャック・タチの作品がお好きな人の琴線に触れる映画だと思う。

最後にひとつ。DVDパッケージの写真はスタイリッシュな映画を思わせるものになっておりますが、そ~いうことはございませんので、お気をつけ下さいましね。

ジャック・リヴェット傑作選 DVD-BOXセリーヌとジュリーは舟でゆく/北の橋/彼女たちの舞台 (初回生産限定)

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