切手鑑賞 高松塚古墳保存基金切手 1973年 高松塚古墳の壁画がアブナイという報道を見るたび、この切手を思い出す。タイトル通り「保存」のための寄付つきである。シートで全3種購入した。当時まだ社会人でなかったから、ケッコウな金額であった。それなのに…保存に不備があって、黴が生え、絵画が消えつつあるという。あの時の寄付を無駄にされてしまった、という思いがふつふつと沸き上がる。「金返せ」という怒りはない。情けなさと無力感のみである。 しかし、残ったこの切手。考えてみれば、発掘当時の綺麗な壁画を記録している写真といえる。しかも印刷は世界に冠たる技術を示していた大蔵省印刷局。 6倍にしてスキャンしてみた。おおっ、十分鑑賞に堪えうるウツクシサではないか?!虫眼鏡で1枚1枚鑑賞したというコレクターの気持ちがようやく分かった気がする。 それにつけても、やんごとなき方々の古墳内部はどのようなものであるのか、考えると楽しい。おそらくこんなものぢゃああるまい。盗掘さえされていなければ絢爛豪華な絵画や装飾品の雨あられ。いつか必ず宮内庁が決断する時が来るだらう。その時に生きていたら見ものである。