ToniCatany 以前、バスルームの黴がうねる波のようになっており、これがまた見事な曲線を描いていて、自然ならではの造形を見せていたことがあった。
「うぬぬ……」
と妙に感心してしまった自分は、結局そこをそのままにして掃除を終えてしまい、
後で家族にどっつり怒られ、カビキラーを体に噴霧されそうになったという経験がある。

 果物は瑞々しく、華は匂い立つような、室内は綺麗に掃除して整理整頓……
 という「常識」を覆しそうな美意識を持っている人がToni Catanyなのだと思う。

 最近は彼に似た感性を有するアーティストは多いのだが、今から20年以上前にこのような斬新な価値観で写真を撮った人は皆無だったろう。

 写真はトニー・カタニーが1987年スペインで発表した写真集『NATURES MORTES (静物画)』からの1枚で、タイトルは「Natura Moria N. 91A/1985」(死せる自然 91A番)←注)勝手に訳してます。間違いに注意!

実はこのトニー・カタニーのこと、1942年マヨルカ島生まれのスペイン人で、今はバルセロナを拠点として活動しているフォトグラファー、としか知らない。
 自分はトニーのことを『スペインの枯山水男』と勝手に呼んでいる。

[追記]
昨日「死した」か「死せる」かで迷い、結局「死した」でタイトルにしたが、
昨夜の夢で裸に薄絹を纏った妖艶な白人女性『シタセル』が現れ、
「そなた、本当に『した』で良いのか。『せる』ではないのか?」
と唇が触れそうな位の近さで訊ねられ、優しくも厳しい素振りで諭され続け、
嬉しいやら暑いやら気持ちよいやら苦しいやらで一晩中苦悶した挙げ句、
「わかり申した。『せる』に訂正致しまする」
と答えてしまった。

 そして、ここに訂正した次第でアリマス。