Sea Level On The Edge 誤解を恐れず言ってしまうと、フュージョンが一部を除いて、今現在支持されていないのは、主に売りにしていたその“都会派センス”からなのではないかと思う。昔も今も都会は都会だが、その内容はまったく異なっている。20年も経ていれば当時最先鋭のデザインだったビルも古ぼけて見えるし、今人気スポットとなっている最新鋭のビルと比較すればその姿かたち、目的、存在意義すらも明らかに違っている。正にこの部分が今、特に若い人たちに支持されない理由なのではないかと思うのだ。当時も今も知っている自分達でさえなお、フュージョンを聞くと、古臭いというか懐メロというか、とにかく今現在の立位置では違和感を感じてしまうサウンドが多いのだから、若い人たちには尚更な事だろう。

 もちろん一言にフュージョンといって、例外も実は多い。ウエザー・リポート、チック・コリア、ハービー・ハンコック関連、そしてもちろんマイルス・デイビスのほとんどの作品は今もって新鮮な驚きである。

 上記の素晴らしいバンドと並べても遜色のない現代的サウンドを有しているのがAllman Brothers BandのChuck LeavellとLamar Williams等が結成した『サザン・フュージョン・ロック・バンド』 シー・レヴェルのこれはサード・アルバム。
 さすがに元オールマン・ブラザーズ・バンドで、適度な泥臭さと垢抜けなさ、そして疾走感が時代を突き抜けて新鮮に聞こえてくる。これは当時都会派を標榜しなかったサウンドに秘密があると思う。フュージョン・サウンドを目指しながら、基本はロックというスタンスがいいのだ。
  何故ロックのスタンスが良いのか?それはロックが未完成の音楽だからである。フュージョンはその類稀なるテクニックと頭脳を有したミュージシャン達が核融合し、極めて短期間にその音楽構造を完成させてしまったのに対し、ロックはあらゆるジャンルの音楽と離合集散を繰り返しながらも未だ完成をみない音楽である。そのため、フュージョンは評価の定まった“過去”なのであるのに対し、ロックは評価が現在進行形のため現代的かつ、未来的でもあるのだ。
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