山親爺セット山親爺といっても、熊ではない。
北国を代表する菓子である。
缶ごと頂いたのは久しぶりで、
中の栞に目を通して驚いた。
なんと「お登勢」「石狩平野」で知られる北国を代表する作家船山馨と、詩集月光とピエロ』、訳詩集『月下の一群』で有名な日本を代表する詩人堀口大學が献辞を寄せているのだ。
以下に掲載してみやう。



山親爺を愛す

                                                                               作家 船山馨


牛乳やバターを主原料とした製品は、どこよりも北海道のものがすぐれている。私はもともと酒飲みであるし、近年は糟尿病もあって、菓子はほとんど口にしない。しかし、札幌千秋庵の山親爺という煎餅だけは、常時愛食している。バターの味が濃密で、いかにも北溜道の菓子らしい風味である。噛んでいると、望郷の想いすら湧く。美味いことは、全国無数の煎餅中での絶品である。この間も東京へ帰るとき、干歳空港まで見送ってくれた詩人竹吉新一郎さんが、士産だと言って山親爺の罐を私に握らせた。竹吉さんも酒飲みだが、これが好物だということであった。わが意を得たりと、私は心中微笑が湧いたことであった。


                                            
                   (詩人)堀ロ大學


実は僕

まだ知床も知りません

北見も僕まだ見ていない

網走の高い塀

北大のポプラ並木

アイヌ部落の熊まつり

札幌名物雪まつり

どれもまだ見たことがない

山親爺なら煎餅だけ…

山親爺栞


美味いんだよね、これ。
実は掲載しなかったが、ホトトギス派の俳人中村汀女も紹介文を書いている(写真参照)。
 ………山親爺 おそるべし………