明暗1 今のライト感覚な時代とは相容れないものかも知れません。
 写真は夏目漱石最期の小説「明暗」の復刻版です。どうです、この表紙絵。この布貼りの函。美しいと思いませんか?
 装丁は夏目漱石から高い信頼を得ていたという画家の津田青楓。この本は彼の装丁の代表作といわれています。
 外函を入れると1.3キロの重さ。仰向けに寝ころんで読むと15分位で腕が痺れて来ます。でもこの重み、自分は嫌いではありません。文豪と装丁家苦悶の重さに感じられます。

 今のポップアートのような感覚に溢れた装丁も新鮮な驚きがあり、楽しめますが、コンピューターの影 というか、デジタルの香りがするのに対し、こちらはどこから見てもどっぷりと手作業なアナログ。重厚長大はアナログ人間の避暑地といえましょう。

明暗2