今日は考えがまとまらないまま、書き込んで行こうと思う。結論迄導きだせるかどうかはわからないが、できるところまでで良い。そんな感じで書き始めることにする。

『底が知れない』
キング・クリムゾンの「暗黒の世界 Starless And Bible Black」。このアルバムは聴けば聴く程こう思う。
自分は下手糞なりにも[自称]ミュージシャンの一員だった訳だが、曲を作るに当りどんな打ち合わせを行い、前もってどんなイメージを作り上げ、どんな切っ掛けでどんな合図をすれば、おのおののサウンドがかくもシンクロし、紡ぎ合ってこんな楽曲ができていくのかが想像できない。
しかも このアルバムのほとんどがライヴの音源を使用しているとのことで、即興的に作り上げられた楽曲が収められているのだという。まさにお手上げである。
とはいうものの、「ミキシングでかなり手を加えたのだろう。」と思うのが普通の感覚だろうし、自分も当初はそう思っていた。だが、バンド解散後に徐々に入手した海賊版の音源や雑誌などの情報を見聞してゆくにつれ、これは・・・と何か空恐ろしい怪物に出会ったような暗鬱な気分に陥らさせられたものだ。
つまりは、彼等はライヴに於いてもスタジオ同様完璧に、いや、それ以上に完成された演奏をしていたからである。後年このアルバムの元とされたライヴ音源がCD化されたが、このアルバムに納められたヴァージョンとほとんど変わっていなかった事に改めて驚嘆し、凡人ミュージシャンは茫然自失とならざるを得なかった。
プログレ・バンドの中で超絶技巧を誇ったイエス、ジェネシス、ジェントル・ジャイアント、P.F.M.などの即興性とは別の種類の物をクリムゾンのそれには感じてしまう。テクニックひとつだけ取ったら、これらバンドのメンバーは、クリムゾンのどのメンバーにも引けを取る物ではない。いやむしろイエスなんかは、クリムゾン以上の実力者揃いで、特にギターのスティーヴ・ハウとベースのクリス・スクワィアのインプロヴィゼイションは超絶の一語に尽きる。が、クリムゾンのものとは異質なものを感じるのだ。イエスもジェネシスもジェントル・ジャイアントもP.F.M.も、誤解を恐れず言うと、予定調和的即興演奏なのだ。メンバー全員がものすごいテクニシャンで頭脳明晰者揃いであるから、メンバー全員が「ここでこうやったら、ああいうサウンドになるな」ということを分かっていて演奏している感じがするのだ。
それでは、クリムゾンのセッションに非常に近い性質のセッションがあったとすると、マイルス・デイビスの高名なジャム・セッションだと思う。マイルスに声を掛けられたミュージシャン達が一つの部屋に集められ、いきなりジャムを始めさせられ、その雰囲気の中でいかなるサウンドを構築できるかを試すセッションだったと言われているものだ。これは自分には感覚的にわかる。フィーリングは掴めているから、たとえへっぽこベーシストの自分であっても、このセッションに放り込まれたら、一小節、半小節、いや一音でも自分なりのグルーヴをそのセッションの中で創り出すことはできると思う。まあ、それがマイルスのお眼鏡に叶う事は100パーセントありえないことではあるけれど。
これに対しクリムゾンのものは、混沌的即興調和とでも言ったら良いのだろうか。メンバー各人が、何らかの共有認識を持ってセッションに望みつつも、極力先入イメージを抑えたままでセッションに突入し、或るサウンド・スイッチに誰かが触れると、先の共有認識によりサウンド・イメージが瞬時にメンバー間をジョイントし爆発炎上するような仕組みを作り上げ、その爆発の力を受けて楽曲を疾駆させる。といったようなインプロヴィゼイションだったのではないかと思えるのだ。(アア、ジブンデモイッテイルコトガヤヤコシイ。)
そして、このインプロヴィゼイションのやり方を可能にするための共有認識が、超自然的な力=例の白魔術を利用して生成されたのではないか、と考えた訳だ。
全く合理的でなく、根拠のある話でもない。理解不能な事柄を宇宙人や未知の生物のせいにしてしまうのと同様、凡人の自分の辿り着いた精一杯のこれが結論である。
但し、この時期の彼等には、ひょっとして、本当にそうだったのではないかという雰囲気は確かにある。1973年から74年にかけての、人生の一瞬とも言える時間、彼等メンバーには神憑かり的(あるいは悪魔的)な力を有していたに違いないのだ。ただ、理屈としてここまで正解だったとして、では具体的にどう実践したかというところで、実際のサウンドは自分の想像力を遥かに超えていて、私の脳みそは暗黒の世界に埋没していってしまうのだった。
自分のなかでこのアルバムの圧巻はB面の2曲。特に『Fracture 突破口』がスゴイ と言える。自分はどうしてもベーシストであるジョン・ウェットンのベースラインが気になってしまう訳で、そうすると同じコード進行でも同じフレーズは弾かず、しかもわざわざ音を細分化して複雑に奏で紡いで行っているのに気付く。それでも完全コピーに挑戦はしたが、対応仕切れず挫折した。(自分なりにはナントカ弾けましたが、ウェットンにはなりきれない!)さすがはクリムゾン!と唸ったものである。
Fractureの画像がないので、CMソングになったこの曲のライヴを
暗黒の世界(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥2,205
Amazon.co.jp
ザ・グレート・ディシーヴァー パート1(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,674
Amazon.co.jp
ザ・グレート・ディシーヴァー パート2(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,674
Amazon.co.jp
ナイトウォッチ(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,490
Amazon.co.jp

『底が知れない』
キング・クリムゾンの「暗黒の世界 Starless And Bible Black」。このアルバムは聴けば聴く程こう思う。
自分は下手糞なりにも[自称]ミュージシャンの一員だった訳だが、曲を作るに当りどんな打ち合わせを行い、前もってどんなイメージを作り上げ、どんな切っ掛けでどんな合図をすれば、おのおののサウンドがかくもシンクロし、紡ぎ合ってこんな楽曲ができていくのかが想像できない。
しかも このアルバムのほとんどがライヴの音源を使用しているとのことで、即興的に作り上げられた楽曲が収められているのだという。まさにお手上げである。
とはいうものの、「ミキシングでかなり手を加えたのだろう。」と思うのが普通の感覚だろうし、自分も当初はそう思っていた。だが、バンド解散後に徐々に入手した海賊版の音源や雑誌などの情報を見聞してゆくにつれ、これは・・・と何か空恐ろしい怪物に出会ったような暗鬱な気分に陥らさせられたものだ。
つまりは、彼等はライヴに於いてもスタジオ同様完璧に、いや、それ以上に完成された演奏をしていたからである。後年このアルバムの元とされたライヴ音源がCD化されたが、このアルバムに納められたヴァージョンとほとんど変わっていなかった事に改めて驚嘆し、凡人ミュージシャンは茫然自失とならざるを得なかった。
プログレ・バンドの中で超絶技巧を誇ったイエス、ジェネシス、ジェントル・ジャイアント、P.F.M.などの即興性とは別の種類の物をクリムゾンのそれには感じてしまう。テクニックひとつだけ取ったら、これらバンドのメンバーは、クリムゾンのどのメンバーにも引けを取る物ではない。いやむしろイエスなんかは、クリムゾン以上の実力者揃いで、特にギターのスティーヴ・ハウとベースのクリス・スクワィアのインプロヴィゼイションは超絶の一語に尽きる。が、クリムゾンのものとは異質なものを感じるのだ。イエスもジェネシスもジェントル・ジャイアントもP.F.M.も、誤解を恐れず言うと、予定調和的即興演奏なのだ。メンバー全員がものすごいテクニシャンで頭脳明晰者揃いであるから、メンバー全員が「ここでこうやったら、ああいうサウンドになるな」ということを分かっていて演奏している感じがするのだ。
それでは、クリムゾンのセッションに非常に近い性質のセッションがあったとすると、マイルス・デイビスの高名なジャム・セッションだと思う。マイルスに声を掛けられたミュージシャン達が一つの部屋に集められ、いきなりジャムを始めさせられ、その雰囲気の中でいかなるサウンドを構築できるかを試すセッションだったと言われているものだ。これは自分には感覚的にわかる。フィーリングは掴めているから、たとえへっぽこベーシストの自分であっても、このセッションに放り込まれたら、一小節、半小節、いや一音でも自分なりのグルーヴをそのセッションの中で創り出すことはできると思う。まあ、それがマイルスのお眼鏡に叶う事は100パーセントありえないことではあるけれど。
これに対しクリムゾンのものは、混沌的即興調和とでも言ったら良いのだろうか。メンバー各人が、何らかの共有認識を持ってセッションに望みつつも、極力先入イメージを抑えたままでセッションに突入し、或るサウンド・スイッチに誰かが触れると、先の共有認識によりサウンド・イメージが瞬時にメンバー間をジョイントし爆発炎上するような仕組みを作り上げ、その爆発の力を受けて楽曲を疾駆させる。といったようなインプロヴィゼイションだったのではないかと思えるのだ。(アア、ジブンデモイッテイルコトガヤヤコシイ。)
そして、このインプロヴィゼイションのやり方を可能にするための共有認識が、超自然的な力=例の白魔術を利用して生成されたのではないか、と考えた訳だ。
全く合理的でなく、根拠のある話でもない。理解不能な事柄を宇宙人や未知の生物のせいにしてしまうのと同様、凡人の自分の辿り着いた精一杯のこれが結論である。
但し、この時期の彼等には、ひょっとして、本当にそうだったのではないかという雰囲気は確かにある。1973年から74年にかけての、人生の一瞬とも言える時間、彼等メンバーには神憑かり的(あるいは悪魔的)な力を有していたに違いないのだ。ただ、理屈としてここまで正解だったとして、では具体的にどう実践したかというところで、実際のサウンドは自分の想像力を遥かに超えていて、私の脳みそは暗黒の世界に埋没していってしまうのだった。
自分のなかでこのアルバムの圧巻はB面の2曲。特に『Fracture 突破口』がスゴイ と言える。自分はどうしてもベーシストであるジョン・ウェットンのベースラインが気になってしまう訳で、そうすると同じコード進行でも同じフレーズは弾かず、しかもわざわざ音を細分化して複雑に奏で紡いで行っているのに気付く。それでも完全コピーに挑戦はしたが、対応仕切れず挫折した。(自分なりにはナントカ弾けましたが、ウェットンにはなりきれない!)さすがはクリムゾン!と唸ったものである。
Fractureの画像がないので、CMソングになったこの曲のライヴを
暗黒の世界(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥2,205
Amazon.co.jp
ザ・グレート・ディシーヴァー パート1(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,674
Amazon.co.jp
ザ・グレート・ディシーヴァー パート2(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,674
Amazon.co.jp
ナイトウォッチ(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン

¥3,490
Amazon.co.jp