StonedPoster

 ストーンズはブライアン・ジョーンズの居た頃が一等好きだ。
理由はわからない。あえて云うならブライアンのフレイバーというか、隠し味が効いているから、ということになろう。
 ご存じのように、ストーンズの曲は彼らのオリジナルはほとんど全てが(Jagger, Richards)とクレジットされている。自分が好きな'60年代のストーンズでこの二人以外の曲は『Their Satanic Majesties Request』でのビル・ワイマンの曲「In Another Land」だけである。

Brian With Guitar 一体、ストーンズにおける他の3人の役割とは、一体何であったのか。と、若い頃はよく考えたものだ。作詞に参加しなかったとしても、作曲には他の3人も多少なりとも貢献した筈である。よく云われているように、たとえ、ブライアンがドラッグとアルコールで常にヘロヘロであったとしても、「インスピレーションとして寄与した」なんてこともあったに違いないと思うのだが、クレジットはカヴァー以外は(ジャガー/リチャーズ)。もし自分がビル・ワイマンだったら、あんなに我慢しないで、70年代には早々に脱退し、自分のバンドを結成していたに違いない。

3Men 1968年製作されたジャン=リュック・ゴダールの映画 『ONE PLUS ONE ワン・プラス・ワン』では「Sympathy For The Devil 悪魔を憐れむ歌」制作中のスタジオ風景がドキュメントされている。ここでのブライアンは、はっきり言って、浮いている。誰にも相手にされず、相手にもせず、ひたすらギターに没頭することで、更なる孤独に籠ろうとしているように見える。
 この映画だけを見ていたら、曲作りに貢献しているか否かは微妙と言わざるを得ないのだけれど、それでも、5人揃って一から曲を作り上げていくわけだから、せめて数曲くらいは全員のクレジットがあってもよいと思えるけれど、(60年代のストーンズについては)皆無なのだ。

当時のライヴ映像などを見ていて、自分はエキゾチックな服を着て生き生きとシタールを弾きまくるブライアンに存在感を感じていた。「彼は間違いなくストーンズのリーダーだ。」という存在感である。

 映画『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』を観た。いつもの“プライベート深夜劇場”、右手に柿の種、左手にロック・グラスというスタイルではあるが。
 この映画では、少なくとも3つの“謎”が解明されている。
一つは、ブライアン脱退の経緯。
一つは、ブライアンとアニタ・パレンバーグ、そしてキース・リチャーズとの関係性。
一つは、ブライアンの死因。
 
 ここでその謎を書き込んでしまう愚は犯さない。ただ、どうしても書いておきたいことがある。
 この映画の中で、破天荒でインモラルで身勝手なのは、ブライアンだけで、他のメンバーは品行方正。被害者ですらあるという描き方となって見えるが、これはいささか極端すぎる。
 それでは、歩く生殖器といわれ、現フランス大統領サルコジの愛人 カーラ・ブルーニはおろか、メンバーであるミック・テイラーにすら手を出したミック・ジャガーはどうだと云うのか。ブライアンから女を寝取り、子供までもうけながら、結局結婚はせず、ドラッグ漬けの自堕落な生活を送ったキースはどうだと云うのか。そして、17歳の少年を自宅へ呼び寄せ、自殺させてしまったアニタ・パレンバーグはどうだと云うのか。

 残念ながら、この映画は今生きている人間に都合の良い描き方しかされていない。そうでなければ、世に出ない作品となったであろうことは、想像に難くない。

 とはいうものの、(できればもっとサイケな映像でぐにゃぐにゃするシーンがあったらよかったのだが。)あの時代を感じさせてくれる映画ということと、自分の中のヒーロー ブライアン・ジョーンズを描いてくれたということについて、満足している。今度はヤードバーズ,ルネッサンスのキース・レルフを取り上げて欲しいものだ。

 最後に、これは配給先と映画の性質によるのだろうか。何でもないシーンにまでボカシが入っているので、かなり注意力を失ってしまった。R15指定をしているのだから、もっと国民を信頼して欲しいものである。
                              以上







ブライアン・ジョーンズ
本物の方がカッコイイかも? 
Yardbirds
こちらはヤードバーズのキース・レルフ(左端)。右端は沢尻エリカでもすっかりおなじみ レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジだ!
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