4日の「世界の車窓から」にキング・クリムゾンの「アイランド」が選曲されていた。
 この番組、映像だけでなく選曲がまたひと味違っていて、ナカナカなものだ。
 多分自分と同世代の人が製作しているのだろう。

 それにしても、先頃までは「イージー・マネー」がCMソングに採用されてもいたクリムゾン。一昔前は事件や事故のバックに「太陽と戦慄」や「21世紀」なんかが流されていた程度なので、えらいブレークしてる。と言えるのかも知れない。


 さて、この曲が収録されている「Islands」、アルバムとして高い評価を得ている作品ではない。しかし、先にも述べたことがあるが、このアルバムはピート・シンフィールドの文学青年的世界を最後に示した作品なのだ。
 大人の男の世界へと脱皮した「太陽と戦慄」クリムゾンへの過渡的作品というとらえ方が、ファンの間では定着しているところだろう。自分もそう思っている。 

 が、しかし、全曲通して聴いてみると、捨て曲のない完成度の高さなのがわかる。正直「ポセイドン」「リザード」は全曲が良いとは言い難い。だが、このアイランドは完璧な“美”に包まれているのだ。
 
 ここで素晴らしいヴォーカルを披露しているボズ・バレル。バンドを続ける中で(ボブ・フリップに)よほど嫌な思いをさせられたのだろう。以後彼はこの儚げにきらめくヴォーカルをその死('06年9月)まで封印してしまったのだから、全くボブは罪作りな男だと思う。

 “アイランド”の最後。オーケストラのチューニングが終わってカウントが始まり、「さあ、これから」と思わせるところでアルバムは終了する。このエンディングの意味と余韻を反芻しながら、今一度LPに針を落とそう。
 
アイランド/キング・クリムゾン