今回も2枚のアルバムについて語ってみましょう。

 1977年 Irene Kral アイリーン・クラールの“ Kral Space”と、Lynyrd Skynyrd レイナード・スキナードの“Street Survivors”がリリースされました。

 1枚はジャズ・ヴォーカルもので、1枚はサザン・ロック。ジャンルは全く異なりますが、ある共通点があります。それは、「死」を予兆している ということ。

Kral Space アイリーン・クラールはこのアルバムをリリースした翌年の8月15日、癌で亡くなっています。本人も、バッキング・メンバーも知らぬ事だったのでしょうが、もしかしたらレコーディング中は既に発病していたのかも知れません。この事実をふまえてアルバム・ジャケットを改めて眺めると、花いっぱいに飾られた棺に納められたアイリーン・クラールの姿のように見えるのです。棺桶の小窓から覗いたアイリーンの死に顔。心なしか、生気がないようにも見えます。亡くなった時は眼を開いたままではなかったことを望みますが………


 レーナード・スキナードの話はロック・ファンに有名なエピソードですが、事故後30年を期に改めて書いてみます。
 1977年10月18日、ツアー中の飛行機が燃料切れによりミシシッピ州マッコム付近の森林に墜落、焼けこげた機体近辺からリード・ヴォーカルでソングライターのロニー・ヴァン・ザント、ギターのスティーブ・ゲインズ、スティーブ・ゲインズの妹でバックコーラスのメンバーだったキャシー・ゲインズら主要メンバー6名が遺体で発見されました。
Street Survivors そして、同月にリリースされたアルバムが、『ストリート・サーヴァイヴァーズ』(手元でLPが見つからず、ネットの拾い物画像となりました。すみません)でした。メンバーが炎に包まれたジャケット写真が今回の飛行機事故を暗示していたと噂が広まり、不吉と判断したのか、アメリカではこの写真を別の写真に差し替えて再リリースされたのです。