麗しのロジーヌ 骸骨を見つめる2人の乙女。
一見似ているようだが、中身は全く異なるようだ。

 まずは左の絵から。
 これはベルギーの画家Antoine Wiertz アントワーヌ・ウィールツ1847年の作品“麗しのロジーヌ La belle Rosine(Deux jeunes filles)”。
 「ほとんど裸にちかい娘、見事に健康的な肉体、みずみずしさ、しとやかさ、美貌、若さはまばゆいほどで、金髪に野の花が編み込まれている。娘が見つめるのはアトリエの壁に掛かるおぞましき骸骨で、名札には『麗しのロジーヌ』と書いてある……ぞっとする極端な対照。見る物を沈思にさそい、その教訓は人に強烈である。」
 と解説にある。
 死と生。老いと若さ。陰と陽。影と光。自分と自分…
 考えれば考えるだけその回数分の事柄が浮かんできそう。


gaikotu 右は比較的最近のもの。太平洋戦争中で、あのライフ・マガジン、1944年5月22日に掲載された。
 軍需工場労働者ナタリー・ニッカーソンへの海軍中尉からの贈り物はなんとしゃれこうべ。ニューギニアの海岸で拾ったジャップの骸骨だという。彼女はこれをTojoと名づけ、ほほえみと共に飽きず眺めている。という写真である。
 一見似ているように見えて、実はぞっとするほど次元が違う。
 贈り物にしゃれこうべ。織田信長が浅井長政のしゃれこうべに塗金をして酒を飲んだというけれど、これに勝るとも劣らない残虐さ。
 このしゃれこうべプレゼント。ドイツ兵では行われていない。底辺には人種差別があると疑わなければならない。ついこのあいだの歴史である。

「心を揺さぶる絵画・画集・写真集」のみなさま。はじめまして。これから時々おじゃまします。よろしくお願いします。